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県東部、若手育て復権 御殿場市と長泉町Ⅴ【市町対抗駅伝】

 声援が戻ってきた駿河路で古里を代表するランナーが疾走した。2日に静岡市内で行われた第24回県市町対抗駅伝競走大会(静岡陸上競技協会、静岡新聞社・静岡放送主催、県、県教委、県スポーツ協会共催)は新型コロナウイルス禍による沿道応援の自粛要請などがない4年ぶりの通常開催。市の部を4年ぶりに制した御殿場市、町の部で11年ぶりに頂点に立った長泉町は、ともに地道に選手を育てて王座に返り咲いた。 御殿場市 「小学生から発掘」チームに好循環 地域一丸で育ててきたジュニア世代が、御殿場市に4年ぶりの栄冠をもたらした。滝口兼光監督(70)が就任して6年。「前回の優勝は前任監督の力。小学生の発掘から始めた」と手塩にかけた選手を軸に、着実に地力を高めてきた。 photo03 市の部で4年ぶり5度目の優勝を決めて喜ぶ御殿場市チーム=2日午後、静岡市駿河区(写真部・宮崎隆男)
 年間を通じたチーム練習で小中学生が競い合い、時に高校生や一般ランナーも加わる。1区2位の長田彩沙選手(17)=日大三島高=や、5区区間賞の村木風舞選手(18)=御殿場西高=は6年間でエースに成長。その姿に7区小野沢玲空選手(13)=御殿場中=ら次世代も「高校生や大人の選手に引っ張ってもらい質の高い練習ができる」と刺激され、好循環を生み出している。
 小中高の9区間の内、8区間が下級生。控えに回った中3の3人はレース前、来年を見据え高校生区間を試走したという。「保護者も熱心。今年は4月から始めた練習を、次回は年明けから始めてほしい、と言われている。その前に少し休ませてほしい」と冗談めかした滝口監督の表情は、充実感にあふれていた。
長泉町 6年間の練習会で力、トンネル打開 2008年から5連覇と一時代を築いた長泉町。その後の長いトンネルを打開したのも、6年前から始めた小中学生対象の夜間練習会だった。「下の世代の強化がチームを強くする」との信念を貫く寺内茂コーチ(71)のもとに選手が集結。今大会は12区間のうちおよそ半数が、その練習会の参加者という。 photo03 町の部で優勝した長泉町チーム。アンカーの小林翔大選手(右)が斗沢秀春監督に優勝杯を手渡す=2日午後、静岡市駿河区(東部総局・田中秀樹)
 7区の田村幸登選手(14)=長泉中=はサッカークラブに所属する傍ら参加し自信を深めた一人。「夜の練習で成長できた」。毎週顔を合わせる仲間とコミュニケーションを深め、団結力も育んだ。
 指導した一人一人の力走を目に焼き付けた寺内コーチは「感無量」とひとこと。丹念に育てた才能が、確かに芽吹いている。

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