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幼なじみ異色タッグ 農家×映像デザイナー 古里・藤枝の茶もり立て

 藤枝市で4代続く「マルムラ製茶」の中村倫男さん(41)と映像デザイナーとして活動する幼なじみの西形圭吾さん(42)のタッグが都内で運営する無農薬の有機栽培茶直売店が今年、開業9年目を迎えた。家族経営の農家が都内に専売店を持つケースは珍しく、オーナーとして店頭に立つ西形さんは「消費地と産地を結ぶ存在になりたい」と意気込んでいる。

(上)マルムラ製茶の商品を販売する西形圭吾さん=6月下旬、東京都台東区蔵前の「NAKAMURA TEA LIFE STORE」
(上)マルムラ製茶の商品を販売する西形圭吾さん=6月下旬、東京都台東区蔵前の「NAKAMURA TEA LIFE STORE」
(下)茶園「馬背木」で茶の生育を確かめる中村倫男さん=7月上旬、藤枝市滝沢(中村さん提供)
(下)茶園「馬背木」で茶の生育を確かめる中村倫男さん=7月上旬、藤枝市滝沢(中村さん提供)
(上)マルムラ製茶の商品を販売する西形圭吾さん=6月下旬、東京都台東区蔵前の「NAKAMURA TEA LIFE STORE」
(下)茶園「馬背木」で茶の生育を確かめる中村倫男さん=7月上旬、藤枝市滝沢(中村さん提供)

 直売店「NAKAMURA TEA LIFE STORE」があるのは古い建築物を生かしたカフェや店舗が並ぶ台東区蔵前。タイル職人の作業場だったという趣ある建物を活用した店内に、茶園の緯度・経度や収穫日を記したパッケージが特徴的な煎茶やほうじ茶、抹茶などが並ぶ。西形さんが急須でお茶を入れ、各茶園の環境や味の特徴、おいしい入れ方について客に詳しく説明する。
 2人は藤枝市立西益津小・中学校の同級生。中村さんが兄と家業を継いで数年がたち、茶葉の単価低迷や消費者のリーフ茶離れに危機感を抱く中、都内在住の西形さんがプロデュースを提案したことが開業のきっかけになった。「静岡では当たり前だった急須でお茶を入れる文化が、上京して特別だと気付いた。中村家のお茶を何とかして伝えたかった」と西形さん。山間部に分散する茶園の特徴を伝えるため各園に番号を付け、あえて合組しない商品展開で2013年にオンラインショップを開設。次第に「試飲してみたい」などの声が寄せられ、15年に同店舗をオープンした。
 新たな試みとして中村さんが地元保存会で手もみ茶の技術を習得し、店舗イベントで披露するなど意欲は尽きない。中村さんは「無農薬でやってきた自分たちのお茶を広く知ってもらえた。お客さんの反応も直に得られ、日々のモチベーションにつながっている」と話す。店舗経営が軌道に乗り、西形さんは茶畑を実際に訪れるイベントや耕作放棄地の活用など、産地の活性化につながる事業を構想中だ。

 

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