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廃プラ固形燃料「RPF」増産へ 来春新工場、脱炭素に寄与 環境のミカタ(焼津)

 リサイクル業「環境のミカタ」(焼津市)は、廃プラスチック類を再利用した固形燃料「RPF」の生産を増強する。同市内で2024年3月に新工場を稼働し、生産能力を約2・5倍に引き上げる。石炭と比べて安価で二酸化炭素(CO2)排出量を33%削減できることから、代替燃料として製紙業界などへ供給を増やし、国内の脱炭素に寄与する。6月初旬に新たにパソコン・OA機器のリサイクル業にも参入し、RPFの生産増強と併せて県外に業容拡大を図る。

固形燃料RPFの製造プラント=焼津市
固形燃料RPFの製造プラント=焼津市
廃プラスチック類を原料としたRPFの実物
廃プラスチック類を原料としたRPFの実物
固形燃料RPFの製造プラント=焼津市
廃プラスチック類を原料としたRPFの実物


 同社は08年から同市を拠点にRPF製造を続ける。今回、大井川港近くの「アースプロテクションセンター第3工場」を拡張する。直径35ミリなどの大型燃料と比べて燃料効率が良く、顧客ニーズが高い同15ミリの小型燃料を手がける。フル稼働時の生産計画量は1日100トンで、15ミリ燃料の工場では県内最大規模という。総工費は約10億円で、静岡銀行など4金融機関から環境事業向け「グリーンローン」の協調融資を受けた。
 同社によると、製造業を中心とした脱炭素対応に近年のエネルギー高が加わり、RPFの引き合いは強いという。日本の石炭輸入量に対するRPF生産量は1%以下とされ、渡辺和良社長は「RPF導入の余地は十分にある。コロナ禍後の社会経済活動の回復に伴い、企業からのプラスチック排出量も増えていく」とみて、原料調達先を首都圏に広げつつ、顧客に化石燃料からの置換を提案していく。
 6月2日には、使用済みパソコンなどの回収やデータ消去のノウハウを持つシーピーセンター(愛知県)を完全子会社化し、自社商材のラインアップを拡充した。渡辺社長は「顧客への提案力、訴求力を高め、リサイクル促進につなげたい」と意気込む。
 (経済部・高松勝)

 RPF 廃プラスチック類やリサイクルが難しい古紙を主原料とした固形燃料。ボイラー燃料として、製紙、鉄鋼などの業界で利用される。原料回収後、工場で選別、破砕、成型の工程を経て製品になる。業界団体によると、国内生産量は近年増加傾向で、2021年度は156万トン。

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