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島田市、学童保育待機倍増か 留守番練習や祖父母協力 市が準備求める 保護者「仕事辞めなくては…」

 共働き家庭などの小学生を放課後に預かる島田市の放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童が2023年度当初、前年度から倍増する可能性があることが分かった。優先的に受け入れることが多い低学年の2年生も利用できない見込みで、市は保護者に「留守番の練習」「祖父母の協力を仰ぐ」といった事前準備を求める文書を送付。保護者は「仕事を辞めなくてはならないかもしれない」と、不安を募らせている。

島田市が保護者向けに送った文書。学年別の申し込み児童数とともに、不承諾の可能性がある児童について「準備を」と求めている=島田市内(写真の一部を加工しています)
島田市が保護者向けに送った文書。学年別の申し込み児童数とともに、不承諾の可能性がある児童について「準備を」と求めている=島田市内(写真の一部を加工しています)
県内の放課後児童クラブの待機児童数と登録児童数の推移
県内の放課後児童クラブの待機児童数と登録児童数の推移
島田市が保護者向けに送った文書。学年別の申し込み児童数とともに、不承諾の可能性がある児童について「準備を」と求めている=島田市内(写真の一部を加工しています)
県内の放課後児童クラブの待機児童数と登録児童数の推移

 市によると現在、定員(公設、民設を含む)1073人の定員に対し1255人の申し込みがあり、前年度の61人から一気に140人が待機児童となる見通し。前年度からの定員増が20人程度にとどまった上、働く保護者の増加で利用希望も想定を上回り、大規模校での定員超過が目立った。16日の市議会常任委員会でも問題が取り上げられ、市は「2年生の新たな受け入れ枠確保に動きたい」とした。
 県のまとめによると、2022年度の県内放課後児童クラブの待機児童(5月時点)は21年度と同じ803人で、全都道府県で5番目に多い。新年度についても解消は見込めない状況で、22年度に待機児童が145人に上った磐田市はクラブ増設などの対策を講じたが「50人前後は待機となるかも」(同市教育総務課)。藤枝市も定員を上回る申し込みがあり、「待機児童は確実に発生する」(同市児童課)という。
 放課後児童クラブを利用できるかの通知は2月ごろに行われるケースが多く、島田市の新2年生の保護者の1人は今月中旬、「不承諾」の通知を受け取った。「2年生に1人で留守番させるのは防犯面でも不安があり、仕事を辞めることになるかもしれない」と話し、市に対して「留守番や祖父母の協力など代替手段がないからクラブを頼っている。待機児童を放置せず、何らかの対応策を示してほしい」と求めた。

静岡県内 定員増も整備追いつかず
 静岡県によると、県内の学童の待機児童数は2017、19年度に千人を超え、新型コロナの影響が広がった20年度は722人、21、22年度は803人と高止まりしている。各市町は定員増に努めているが、共働き世帯の増加などを受けてニーズの高まりに整備が追いついていない。
 22年度に県内で最も多かったのは浜松市で261人。静岡市は30人と少なく、人口規模と待機児童数は必ずしも比例していないという。県こども未来課の担当者は「親の就労時間など利用条件は市町の実施主体によって異なり、数字だけで一概に比較できない」と指摘。「予測を立てて定員を増やしても新たなニーズが生まれるなど、学校によっては余裕教室の確保が難しい。(島田市のように)1度減った待機児童が再び増えてしまうケースはある」と打ち明ける。
 22年度の学年別の待機児童は1、2年生が123人、3、4年生が504人、5、6年生が177人。低学年を優先的に受け入れるため、中学年の待機が増える傾向にある。

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