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詐欺防止に演劇部“一役” 富士署、孫世代の訴え効果期待 4高校が披露

 特殊詐欺が増加傾向にあることを受け、富士市内4高校の演劇部は11日、市内の防犯ボランティアら向けの防犯啓発イベント「FP(フジ・ポリス)演劇祭」に出演する。演劇を通して手口や被害の実態を分かりやすく伝えられると期待し、富士署が初めて開催する。録画をボランティアによる地域の防犯講話に役立てる。

防犯啓発イベントで披露する舞台に向けて、演技プランを練る高校生=1月下旬、富士市の富士見高
防犯啓発イベントで披露する舞台に向けて、演技プランを練る高校生=1月下旬、富士市の富士見高

 富士、富士東、富士見、吉原の4校はロゼシアターに集まる関係者250人の前で約15分の舞台をそれぞれ披露する。生徒は署員に聞くなどして被害実態を調べ、台本を用意した。オレオレや預貯金、還付金などの手口を題材に、犯行グループとの電話でのやりとりや家族の様子を再現する。作品の雰囲気が暗くならないように劇中の各所に笑える要素を組み込んだ。
 本番が迫り、各校の稽古場には緊張感が漂う。1月26日の富士見高演劇部は「お金にもっと執着して」「焦りが伝わらない」などと指摘し合っていた。犯人役の1年杉山翔さんは「資料映像を見て同情の誘い方を勉強している」という。
 同署によると、2022年の管内の特殊詐欺被害は速報値で15件(前年比6件増)、被害額は約2900万円(同600万円増)と、チラシ配布などの従来の啓発活動では歯止めをかけられていない。
 同署は被害の9割を占める高齢者の心に響くように、孫世代の高校生を起用した。演劇が鑑賞者の記憶に残り今後の啓発活動に有効か調べ、来年以降の一般公開を検討する。
 若い世代の防犯意識を向上させる意図もある。部長の2年石丸めぐさんは活動を通して「相談できる家族関係であることが大事。大切なことは会って話す決まりを家族で作りたい」と学んだ。
 初開催の反響次第で同署は恒例化や交通安全演劇なども検討する。小高義久生活安全課長は「警察の固定概念に縛られない高校生の発想は被害減少に効果があるかもしれない」と期待を寄せる。

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