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造形作品で技術アピール 沼津の看板店2代目社長、端材で生物を緻密に表現 31日まで個展

 沼津市大諏訪の看板製作会社「微助人(びすけっと)」の2代目社長野口大さん(44)が、仕事で出る鉄板などの端材を使い、動物などの造形作品を制作している。31日まで市内で個展を開催中で「技術やデザイン力をアピールし、看板の可能性を広げたい」と思い描く。

古代魚のダンクルオステウス(手前)やベンケイガニ(奥)などの造形作品が並ぶ野口大さんの作品展=10月上旬、沼津市東椎路のららぽーと沼津
古代魚のダンクルオステウス(手前)やベンケイガニ(奥)などの造形作品が並ぶ野口大さんの作品展=10月上旬、沼津市東椎路のららぽーと沼津
羽根の脈を番線でリアルに表現したオニヤンマ
羽根の脈を番線でリアルに表現したオニヤンマ
古代魚のダンクルオステウス(手前)やベンケイガニ(奥)などの造形作品が並ぶ野口大さんの作品展=10月上旬、沼津市東椎路のららぽーと沼津
羽根の脈を番線でリアルに表現したオニヤンマ

 高校卒業後、看板職人となった野口さんは2018年、父の繁明さん(69)から社長職を譲られた。経営を引き継ぐと、「新しいアイデアを思いついても、すぐ模倣されてしまう」と競争の厳しさを痛感した。設備投資も必要なく、まねされない技術は何か―。たどり着いたのが、技術力を生かした造形作品の制作だった。
 作業場には、看板の骨組みに使う鉄板の端材や、「番線」と呼ばれる資材をまとめる針金が捨てられていた。専門的に造形を学んだことはないが、子どもの頃から図画工作は好きだった。見よう見まねで番線を曲げ、鉄板をたたいて丸みをつけて作り始めた。19年からSNS(交流サイト)で約40作品を公開してきた。
 同市のららぽーと沼津内「沼津コート」で31日まで、地元では初となる個展を開いている。会場には、実物の数十倍、80センチほどのベンケイガニや、オオスズメバチなど身近な生き物から、古代魚のダンクルオステウスまで、さまざまな作品が黒い光沢を放つ。「形やデザインが好きな物をモチーフにしている」。オニヤンマは羽根の脈を番線で緻密に表現し、脚や口が動く作品もある。
 既に地元のすし店から店に飾る造形作品として、注文が入った。「造形作品を新たな『立体看板』として形にしていけたら」と意気込む。

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