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区協議会体制見直し 若者含め参画意識重要【解説・主張しずおか】

 浜松市は現行7区を3区にする行政区再編に合わせて、住民自治の要となる区協議会体制の見直しを進めている。鍵となるのは50の地区自治会連合会単位で設置が可能になるコミュニティ協議会(コミ協)。市民が地域課題の議論や施策提案により深く関わり、地域の特性を伸ばす推進力になると期待される、ユニークな仕組みだ。機能させるには市の後押しと市民の参画意識が重要になる。

技能研修に参加する区協議会委員=7月下旬、浜松市役所
技能研修に参加する区協議会委員=7月下旬、浜松市役所
区協議会・コミュニティ協議会の基本構成の図
区協議会・コミュニティ協議会の基本構成の図
技能研修に参加する区協議会委員=7月下旬、浜松市役所
区協議会・コミュニティ協議会の基本構成の図

 2005年の12市町村合併の際、市は地域分権と個性の尊重を理念としたクラスター型都市を掲げ、政令市移行時は7区ごとの区協議会と旧12市町村単位の地域協議会で住民の声を市政に届ける、2層の自治組織体制を取った。後に地域協議会は行革の流れの中で廃止され、区協議会も委員の企画立案技術を高めるなど工夫を重ねているものの、現状は委員と区役所との対話が中心で、「意見が具体的成果につながりにくい」との指摘が目立つ。地域分権の試みは道半ばだ。
 市は今回の再編で生じる6億円余りの経費削減額を活用し、コミ協の事務局を担うコミュニティ担当職員(コミ担)を増強する。コミ協で出たアイデアや問題提起を、コミ担が施策などとしてどう実現するか練った上で、上部組織の区協議会に提示する形を想定している。職員が地域の組織に溶け込み、意見の具現化を目指す仕組みは、全国政令市の中でも先駆的だという。
 新しい区協議会は各地区の代表を中心に構成され、市の報告案件の審議ではなく、ボトムアップの提案に重点を置いて議論する場になる。
 コミ協の設置は任意で委員の構成や活動も地域に一定の裁量が与えられそう。その活性度やコミ担の力量次第では他地域のモデルとなるユニークな施策の提案が期待できる。区再編を議論する市議会特別委員会の高林修委員長は「学生を含めて幅広い年代層の市民が参加し、新しい発想で地域を活性化させる場になってほしい」と展望している。
 これまで区再編の議論は、区割りや区役所の配置をめぐって白熱し、特に区役所を利用する機会の多いシニア層が意見を主張する場面が目立っていた。一方、取材をしてきて若年層の関心の低さが気になっていた。区再編は各地域がどう存在感を発揮していけるかの分岐点になり、将来世代にこそ密接な問題だ。コミ協の試みを、若年層が市政や地域社会に参画しやすい環境づくりにつなげることが重要だ。

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