牧之原開墾指揮の旧幕臣 大草高重の甲冑を初公開 島田市博物館
牧之原開墾を指揮した旧幕臣の大草高重(1835~1892年)が愛用したと伝えられる甲冑(かっちゅう)が島田市牧之原の大草家から同市博物館に寄託され、22日まで開催中の「いまだけ ここだけ くびったけ 推しのお宝大公開」の前期展で初公開されている。
甲冑はかぶとに鍬形(くわがた)の前立てが付き、青色の糸が使われ全体的に質素な作り。胸板の上部には「丸に二両引」の紋があり、大草家の始祖である足利家の家紋を制作時に付けたと考えられるという。かぶとの内側には「上州住早乙女家則」の名前が刻まれ、江戸時代中頃―後期に制作されたとみられる。
隠居した徳川慶喜の護衛役を務めた大草高重は中條景昭とともに旧幕臣を率いて牧之原開墾に従事し、茶園経営者としても成功した。甲冑はびょうぶなどと一緒に数年前に大草家から寄託され、同博物館が調査を進めていた。
主任学芸員の朝比奈太郎さんは「弓の名手としても知られ、徳川家から信頼された人物。甲冑は当時を知る貴重な資料」と話している。