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社説(3月8日)変わる就活 出遅れ孤立化させるな

 2023年に卒業する大学生・大学院生の新卒採用の会社説明会が解禁され、就職活動が本格的に始まった。日程が経団連指針から政府主導に移行して3年目。説明会や面談・面接のオンライン化など、新型コロナウイルス感染拡大で変容してからも3年目である。
 静岡新聞社の県内主要30社調査では、全社が今年、新卒採用活動にオンラインを活用すると回答した。対面型と併用するという会社も目立つ。
 政府主導でも6月1日選考開始、10月1日内定解禁は変わらない。しかし、規定の形骸化はかえって進み、既に内定を得ている学生もいる。
 新型コロナの影響で採用が縮小した昨年の反動から、学生優位の「売り手市場」になるとの見方が強い。コロナ下で新採を見送ったり抑えたりした企業が持続化を担う人材を求めている。
 ただ、新型コロナ感染状況やウクライナ情勢などによっては学生も企業も臨機応変が求められよう。実質内定時期の前倒しが見通される一方で、秋季採用を含めた長期戦の可能性を頭に置いておく必要もあろう。
 就活は熱量だけでなく「ご縁」にも個人差がある。出遅れを感じて過度に焦ったり孤立化したりすることのないよう、大学は丁寧な支援をしてほしい。
 採用側には情報開示を求めたい。感染したり濃厚接触者になったりして長期間隔離を余儀なくされた学生にはフォローも必要だろう。親身になって対応する姿勢は必ず学生たちに伝わる。
 オンライン就活によって学生は時間や交通費の負担が減り、企業は全国の学生に訴求できるメリットが確認された。一方、会社説明会に参加してもエントリーしなかったり、内定辞退が増えたりしたなどの課題も浮かんだ。
 就活は社会人への助走と言える。企業にも学生にも礼節が求められる。どちらが優位ではなく、特に内定辞退は、決めたら早く伝えるのが常識である。
 就職支援財団(静岡市)のまとめによると、県内企業の22年春入社予定の新入社員の採用充足率は46・5%で前年比6・1ポイント上昇した。デジタル活用も押し上げた一因とみられる。
 23年春卒の就活について、就職情報会社ディスコが全国約1300人に行ったネット調査によると、2月1日時点で20・2%が「内定を得た」と回答し、前年同期より6・7ポイント増えた。
 「出身地・地元で就職したい」は35・7%で同7・7ポイント増。コロナ下の就活は変容している。これを潮目と受け止め、地方自治体と経済界は新卒だけでなく社会人のU・Iターン就職増へ腰を据えて戦略を練るべきだ。

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