全国で火事が相次ぐ中、消防とともに初期消火にあたり地域を守るのが消防団です。高齢化や社会情勢の変化で団員の数は減少傾向ですが、若い世代や女性の活躍で担い手を確保している地域があります。
静岡県熱海市の消防団員、白井慧梧さんです。熱海市で初となる大学生の消防団員で、18歳になった2024年4月に入団しました。
2025年3月2日、市内の消防団の合同訓練に参加しました。
<熱海市消防団 第2分団白井慧梧さん>
「熱海にまず貢献したかったというのが一番なんですけど、伊豆山の土石流災害とか熱海は災害の多い土地だと思います。防災の第一線に立てるような存在になりたいと思って入隊させていただきました」
白井さんの父親も、亡くなった祖父も消防団員で、それが入団のきっかけでした。東京の大学に通いながら月に1回から2回訓練に参加し、ホースの伸ばし方やノズルの扱い方などを学んでいます。現場に出動したことはありませんが、いつでも対応できるよう真剣に取り組んでいます。
<白井さん>
「災害が起こってしまった場合には、自分の行動をしっかり訓練から改めて無駄のない動きで第一に人の命を救う人になりたいです」
熱海市の消防団員の数は定員の450人に対し、2025年は341人。世代別では40代と50代が大半を占める一方で、10代と20代は計10%で、若い世代の担い手の確保が課題です。
こうした中、貴重な力となっているのが「女性消防部」です。高齢者を訪問するなど、地域の防災活動のリーダーとして役割を担っています。
<女性消防団員>
「避難されるときは自力で?」
<高齢の女性>
「この間洪水で川が増水したときは、あそこの公民館へ近所の方と一緒に」
熱海市消防団の女性消防部は、県内で5番目の女性消防部として1995年に発足しました。2025年で30年を迎え、現在は8人が在籍しています。
<女性消防団員>
「コンセントとか、あそこに埃がたまるとこういったことも起きてしまうと思うので、全然大丈夫だと思うけど。洗濯物を干さないと思うけどストーブの周りにね」
細やかな気遣いで、高齢者に優しく防火への取り組みを伝えます。
<高齢の女性>
「大歓迎です。一人ですので安心しました」
<女性消防団員>
「女同士だからね。言いにくいこともお話しできるから」
<高齢の女性>
「安心しました。ありがとうございました」
<消防団の訓練>
「救急を呼んでくれたそうなので着くまで私たちで蘇生措置をやっていきましょう」
「じゃあ、変わります」
「疲れたらすぐ変わる。絶え間なくマッサージが必要なので変わるタイミングは素早く」
<女性消防団員>
「やり方は分かっても、人への説明の仕方、それをどうやってやるのか」
応急救護のやり方を分かりやすく伝えるにはどうすれば良いのか、「伝え方」も学んでいます。
<熱海市消防本部 中村幸揮消防総務課長>
「消防団は地域防災の中核的役割を担う欠かせない存在となっていますし、消防団の情報というのは非常に大きくて、現場活動において一緒に活動するときに本当に心強い存在です」
消防本部からも頼りにされている消防団。ベテランだけでなく若い世代や女性が協力し、住民に最も近い存在として地域を守っています。