<社会部 田島かのん記者>
「きょうのしずおか産はこのおいしそうな富士宮やきそばが盛り付けられているお皿、『富士山溶岩焼』です」
静岡県富士宮市の「さのめん」。選りすぐりの食材で作る「富士宮やきそば」は多くの人に愛されています。その味を見た目で引き立てるのが青が美しい平皿です。
<田島記者>
「お皿まで富士宮産なんですね」
<佐野治子さん>
「そうですね。溶岩焼というのはみなさんとても興味を示されて、工房の方に行かれる方もいらっしゃるみたいです」
富士宮市に工房を構える「白台陶房」。「富士山溶岩焼」の特徴はその名のとおり、富士山の溶岩を原料にしていることです。
<田島記者>
「この溶岩を使って、粘土に練り込まれているという感じなんでしょうか?」
<小田勝山さん>
「粘土の中に入れるのではなく、釉薬、いわゆる上薬、発色させる方に溶岩を使用しているんです。今、二色ありますけれども、溶岩釉だけで焼き上げてあげるとこのような発色になるんです。これはブルーに発色する薬に溶岩釉を縁にかけているんです。金結晶のようなものが出ていますが、これが溶岩釉ですね」
釉薬を作るため、溶岩は細かく砕きます。他に、植物の灰などをポットミルに入れ水を加えて液体にします。
<田島記者>
「完成した溶岩の釉薬こちらなんですか?」
<小田さん>
「ちょっと混ぜてみますね。さっきつぶつぶあったでしょ。あれからも全部想像できないくらい」
66年前、先代・帰山さんの度重なる失敗を元に生まれた溶岩釉。富士山の麓に陶房を構えたことがきっかけでした。
<小田さん>
「目の前にすごい富士山があるじゃないかと。で、いかに焼き物に反映できるかとなりまして、着目したのが溶岩なんです。僕も溶岩焼が大好きで後を継いでいますので」
溶岩釉と向き合って45年の小田さん。焼き物は富士山に通じるものがあるといいます。
<小田さん>
「富士山はその時期、季節によって表情はすごく変わるんです。表情が変わる事は焼き物にも共通してまして、一窯一窯がちがう。それって富士山に似ている」
陶芸教室に通う人も溶岩釉によって生まれる独特な色や質感に惹かれています。
<陶芸教室の生徒>
「私も富士山好きなものですから。とにかく、溶岩を使っているのはここしかないもので。同じものを何個も作ってる、一つ一つ全部違う。それが一番の面白みがある」
<小田さん>
「溶岩焼というのは、うち独自のものですので、せめて地元の人たちがうちに湯飲みあるよ、とか、茶碗でいただいてますよ、とか溶岩焼がここにありますよ、地元にありますよっていうことがもっともっと広く知っていただけたらいいと思いますよね」