2050年には人口が50万人割る推計 若者流出を食い止めるカギは「デジタル関連企業」誘致 静岡市が注力【現場から、】

静岡市が将来の人口を独自に推計したグラフです。今後、何も対策をしなかった場合、2050年の人口は50万人を割り、2024年6月に比べて3割ほど減少する見込みだということです。

こうした状況の中で市が力を入れているのが「企業誘致」です。特に、デジタル関連の企業を呼び込み、若者の流出を食い止めようとしています。

毎年、150人ほどのIT人材を輩出する静岡市の専門学校です。この春、卒業を迎える彼らはこの日、学生生活の集大成となる卒業制作に取り組んでいました。

「レベルの所だけ統一してもいいかも。アイコンはそのままでもレベルのところはHPと同じ色にしてもいいかも」

3年間、静岡でゲームの制作を学んできた彼らが作るのは、オリジナルのロールプレイングゲーム。企画から開発までチームの8人で手掛けた渾身の作品です。高いスキルを身に着け、企業の即戦力として期待される8人ですが、このうち3人が県外での就職を選びました。

<大阪のゲーム会社に就職する学生>
「僕が作りたかったゲームの会社が県外にあったという形だったので、県外から就職活動を始めていきました。自分が作りたいものとなったら県外になってしまいましたね」

<東京のIT企業に就職する学生>
Q.静岡は選択肢になかった?
「静岡でも探したんですけど、やはり数が東京とか都会の方だと静岡は少ないというイメージがあって、静岡を中心的に探すのではなく、県外を中心的に探していた」

静岡市によりますと、市内には情報系の学校が多く、約3000人の学生がいるもののデジタル関連の企業は少なく、学生の4割ほどが市外で就職している状況です。

<静岡市 難波喬司市長(2024年10月)>
「若い世代が進学・就職を機会に静岡を離れてしまうということが大きな課題です。魅力ある、自分がやりたいという仕事が少ないということで、それがあれば残ってここで幸せな生活をしていただけると思っている」

こうした状況を打開しようと、市は2024年10月、民間企業7社とデジタル関連企業の誘致に向けた連携協定を締結。2030年までに10社を誘致するという目標を打ち出しました。

<テックチャオ 五十嵐平馬社長>
「デジタルエンターテイメント産業の盛り上げに微力ながら貢献できれば」

この協定に参画している五十嵐平馬社長です。五十嵐さんは4年前、結婚を機に静岡に移住し、IT企業「テックチャオ」を立ち上げました。主にスマートフォンの向けのゲーム開発などを行っています。

五十嵐さんは、企業誘致を進めるうえで、企業側のリスクを出来るだけ減らすことが重要だと話します。

<テックチャオ 五十嵐平馬社長>
「やはり地方進出という意味では、企業がリスクを負うことになるので、そのリスクの部分を下げるような施策があれば、できやすいんじゃないかなと思います。例えば、オフィスの箱の確保という面で、賃料を一部補助していただくですとか、そういった施策があれば入りやすいかなとは思いますね」

この日は、定期的に行っている市の職員との打ち合わせです。五十嵐社長が市民講座の講師を務めるなど、デジタル人材の育成についても連携していくことが決まりました。

<テックチャオ 五十嵐平馬社長>
「この業界、いろんなシステムを、いろんな会社が協業して作っている面がありますので、パイ自体を一緒に広げて、人材も分け合っていくところで、うまくいくんじゃないかなと思ってます」

市と民間企業が連携して行うこの取り組み。人口流出にストップをかけるひとつのカギとなりそうです。

<静岡市政担当 坂口将也記者>
人口減少対策に取り組む静岡市ですが、2025年度の当初予算案に「デジタル関連企業誘致事業」として、7687万円を計上しています。

主な取り組みとして
▼企業と大学の交流
▼事務所の賃借料の助成 などを実施していく予定ということです。

一方で、テックチャオの五十嵐社長は「デジタル業界は場所を選ばない」とも話していて、静岡市ならではの付加価値をどうつけられるかがポイントになるのだと感じました。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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