外国人観光客が増えるなか、その恩恵を受けきれていない静岡県で外国人の心をどうやったらつかめるか探る取り組みが始まりました。カギになりそうなのは「心に刻まれる体験」です。
浜名湖が一望できる眺めのいいレストランでウナギをほおばる一行。観光客ではなく観光ツアーをつくる人たちです。11月19日から静岡県西部で始まったのは、浜名湖周辺などの外国人向けツアーを開発しようという取り組みです。
静岡県が企画したもので、外国人向けのツアーに取り組む旅行代理店の人たちに県西部の観光の魅力を伝えたいという狙いがあります。なぜ、こうした取り組みが進められているのか。同行した浜松市の担当者は切実な悩みを打ち明けます。
<浜松市観光・シティプロモーション課 鈴木雅俊さん>
「浜松市のインバウンドの状況として、東京-大阪間のゴールデンルートにあるが通過されてしまうことが多い」
日本を訪れる外国人観光客はコロナ禍を乗り越え、増加の一途をたどっていますが、浜松市に宿泊する外国人観光客は思うように伸びていません。
いまは大都市に集中しがちなインバウンドの観光客ですが、東京や京都などのホテルがいっぱいになり価格が上がっているため地方にとって、いまはチャンスなんだそうです。
<浜松市観光・シティプロモーション課 鈴木雅俊さん>
「訪日旅行を手配している業者によると、大都市の泊数を減らして地方都市に1泊2泊するというので、浜松にとっては追い風になっている」
チャンスを生かし、外国人観光客の興味を引くために重要なのは「記憶に残る体験」です。
実際、旅行代理店の人たちのテンションが最も上がったのがウナギの養殖業者で体験したつかみ取りでした。ウナギを味わうだけでなく、養殖している様子や直接ウナギを触るという体験を重ねることで、旅行自体の価値は上がると代理店の担当者は話します。
<アメリカの旅行代理店 中園妃代さん>
「苦手な人は苦手だと思うんですけど、富裕層だったら家族で旅行に来る人でお子さんがいるんだったら記憶に残る良いものになるのでは」
言葉の壁を越えて心に刻まれる体験をどうやって外国の観光客に伝えていくか、国内のPR合戦は今後ますます激しくなりそうです。