わたしの防災です。死者、行方不明者が63人に上った御嶽山の噴火から2024年で10年となり、火山災害への備えが改めて見直されています。活火山である富士山を抱える静岡県内の自治体でも備えの意識が高まっています。
<訓練のアナウンス>
「富士宮市で地震が発生し、同時に富士山が噴火しました」
静岡県富士宮市の幼稚園で行われた防災訓練です。
<教諭>
「ハンカチで鼻やお口を隠した人から先生についてきて下さい」
園では11月、富士山の噴火を想定した初めての訓練を行いました。園児たちは火山灰などから身を守るために、鼻や口をハンカチで覆いながら避難しました。
<保護者>
「地震はあるんですけど火山の噴火は頭でちょっと考える程度だったので。火山灰だとかあるのでマスクとかとっさに口をふさげるようなタオルだとか。すぐ手にとれるところに置いておこうかなと思います」
<教諭>
「バコーンって、こういうのがいっぱい降ってきたよね」
富士宮市の幼稚園でも高まる火山噴火への備え。富士山は過去5600年の間におよそ180回噴火していますが、1707年の宝永噴火を最後に300年以上の沈黙を貫いています。そうした中、国や自治体はいつ噴火しても不思議ではないと対策を進めています。
<富士宮市 危機管理局 中村和文局長>
「こちらの行動マップなんですけれども、避難対象エリアを色分けで分けております」
こちらは富士宮市が作った富士山火山避難行動マップです。自分の住む地区がどのレベルの避難対象エリアなのか、一目で分かるように作られています。
<富士宮市危機管理局 酒井大輔主査>
「富士山が噴火しますと小さな噴石が飛んできたり、灰が降ってきますので、このようにヘルメットを着用して、目、鼻、口に火山灰が入らないようにゴーグル、マスクを着用するようにして下さい」
マップでは避難する際の装備品も紹介しています。火山灰が皮膚に付着しないように夏場であっても長袖、長ズボンなどの着用をすすめています。
<富士宮市危機管理局 中村和文局長>
「ぜひみなさんこれらを見て参考にした上で備えていただきたい」
国も富士山の噴火の被害をできる限り減らそうとハードとソフトの両面から対策に力を入れています。国交省は10月、静岡と山梨の両県の連携がスムーズにとれるよう訓練を実施しました。
また、噴火にも大雨にも対応できるよう富士山麓で大規模な事業を進めています。
<国交省富士砂防事務所 中戸真一事業対策官>
「風祭上流遊砂地工という砂防施設になります。大雨の時とか、火山噴火に起因して発生する土砂災害を、ここで危ない土砂を食い止めて、下流側に流れて家屋等に押し流すような災害を防いでいます」
富士山が噴火すると降り積もった火山灰で雨水が地中にしみ込まずに表流水となり、少しの雨でも土石流が発生しやすくなります。降り積もった灰を巻き込み危険性が高まります。富士砂防事務所は1969年度から約100基の砂防施設を整備してきました。さらに、静岡と山梨で計1万2300個のブロックを備蓄しています。
<国交省富士砂防事務所 中戸真一事業対策官>
「富士山の火山噴火というのは いつ起きてもおかしくないと言われておりますので、なるべく早くこういった施設を数多く作って、地域を危険な状態から守っていきたいと思っております」
富士山の周辺では民間も、行政も噴火への対策を着実に進めています。私たちも富士山が活火山であることを忘れずに備えの確認が必要です。