大雨による浸水被害が相次ぐ中、国は水があふれる状況をリアルタイムで把握する新しい仕組みの実証実験を進めています。その名も「ワンコイン浸水センサ」。小型で低コストのマシンが河川の増水などに目を光らせています。
<東部総局 伊部桜輔カメラマン>
「沼津市三園町です。降り続いた雨で、道路に10センチほどの水が溜まっています」

2024年6月、大雨が降った静岡県沼津市の三園町です。この場所は大雨が降ると道路の下を流れる水路があふれ、たびたび冠水します。こうした状況を素早く察知し、早期の対応につなげるため国は新しいシステムの実証実験を進めています。
<東部総局 金原一隆記者>
「この場所が6月に冠水した場所ですか」
<沼津市河川課管理係 後藤大祐副主任>
「はい。6月の大雨の後に、河川課で新しい装置をこちらに設置しました。横についている白い箱、『ワンコイン浸水センサ』といいます」
国土交通省が全国で実証実験を進めている「ワンコイン浸水センサ」です。
<沼津市河川課管理係 後藤大祐副主任>
「河川が大雨で増水した時、こちらにセンサーがあって、センサーで水を一定時間感知すると、国交省のシステムに『浸水した』という情報が飛んで(沼津市の)河川課でも確認できる」

底の部分に水が約10分間触れると… 国交省のシステム上で、センサーの設置場所のマークが青から赤に変わり、周辺が水に浸かったことを知らせます。
小型でさまざまな場所に取り付けられるこの装置を沼津市は繰り返し水があふれている道路や川沿いの36か所に設置しました。
<沼津市河川課管理係 後藤大祐副主任>
「以前であれば、職員が現場に行って浸水状況を確認していたが、このシステムを付けることで、現場を踏査(調査)することなく浸水や冠水が分かりますので、防災対策が以前より早期にできるのが狙い」

沼津市はこれまで浸水の発生状況を職員の見回りや、住民からの通報で把握していました。大雨で水が出やすい場所にこのセンサーを設置することで、リアルタイムで浸水を把握し、道路の通行止めなど対応を早めることができます。内蔵の電池で約5年間動き、費用は1台4,000円程度と低コストです。

<沼津市河川課 長嶋晃令課長>
「今ここまで(水が)きてる、と早めにアナウンスできるようになると思いますので、早めの避難(につなげる)ということも可能」
大雨による災害は状況が刻一刻と変化します。浸水被害の始まりをいち早く察知するための小さなマシンに大きな期待が込められています。「ワンコイン浸水センサ」ですが、国は将来的に名前の通りワンコイン、1つ500円程度の費用で普及させていくことを目指しているということです。