「こんなに愛されていて幸せ」最後の1日 全国で書店閉店が相次ぐなかファンが別れを惜しむ 42年の歴史「吉見書店竜南店」=静岡
8月31日、静岡市の「吉見書店竜南店」が40年以上の歴史に幕を閉じました。全国で書店の閉店が相次ぐなかで迎えた最後の1日。多くのファンが別れを惜しみました。
<社会部 大西晴季記者>
「静岡市内の書店に来ています。こちらの書店はきょうで閉店するということで、メッセージボードが設置されていて、訪れた方が思い思いに言葉を書き残しています」
静岡市葵区の住宅街にある吉見書店竜南店です。周りに学校などが多い地域でオープンから42年間、「まちの本屋」として地域に愛され続けてきました。閉店が決まり、8月31日の営業最終日に多くのファンが駆け付けました。
<地元の高校生>
「近所なので小さい時から通っていて、塾の帰りとか学校の帰りとかに来ていたので、なくなっちゃうのは悲しいです」
<客>
「すごいさみしいです。やっぱりないじゃないですか?本屋さん今だいぶ。これだけ地元密着で愛されてた本屋さんがなくなるのは本当にさみしい」
スタッフが企画したメッセージボードには、たくさんの思いが書き込まれました。
<吉見書店竜南店 鈴木彩楓さん>
「こんなに本屋さん愛されてて、もう幸せです。その言葉に尽きますね」
いま「まちの本屋」は年々数を減らしています。「日本出版インフラセンター」によりますと、2024年3月末時点の全国の書店数は1万918店舗。10年前と比べて、約およそ3割減少しました。ネット通販の拡大やスマートフォンの普及などに伴う「読書離れ」で客足が遠のいたとみられています。
静岡県掛川市の高久書店です。代表の高木さんが「地域の子どもを大切にしたい」という思いで4年前にオープンしました。かつて大型の書店でも働いていた高木さん。「まちの本屋」は、かけがえのない場所だと話します。
<高久書店 高木久直代表>
「教育と教養の場所、それが本屋さんていう風によく言わせてもらってるんですね。教育っていうのは教え育むという意味もありますが、きょう行くところという意味で。それから教養のある場所、きょう用がある場所ということで、なんのハードルを感じることもなく、ふらっと気軽に行ける場所、それが町の本屋さんじゃないかなって思っています。(書店の)持続可能なやり方を今後も見つけていかなければいけないというふうには思っていて」
閉店の日を迎えた吉見書店竜南店。最後の客が会計を終えると店内から拍手が起こりました。
「42年間、ありがとうございました」
地域に根ざした「まちの本屋」最後の日。果たしてきた役割の大きさを多くの人が実感しているようでした。
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