わたしたちの生活に欠かせないネット通販などの宅配ですが、いま、ドライバー不足というピンチに直面しています。ドライバーの労働時間の管理が厳格化される「2024年問題」によって、荷物が届かなくなるとの恐れも指摘される中、静岡県内の業者は対策を急いでいます。
物流業界に大きな影響を与える「2024年問題」。いままで上限がなかったドライバーの時間外労働時間に2024年4月から制限がつきます。ドライバーの働き方改革が目的ですが、専門家は国内の物流が滞る可能性があると警鐘を鳴らします。
<神奈川大学経済学部 齊藤実教授>
「商店に商品が並んでいるが、その商品が届かなかったり、ネット通販を利用して、宅配便を輸送する場合も、宅配便が時間通りに届かなかったり、郵送が大幅の制限される問題がこれから生じる」
国土交通省によりますと、コロナ禍の巣ごもり需要などを背景に宅配の数は急増。いまや生活に欠かせないツールとなっています。物流を守るための取り組みは、静岡県内でも進んでいます。
<山本太朗記者>
「新東名浜松サービスエリア下り線の横にあるトラックの中継拠点。2024年問題を解決する一つの取り組みとして注目が高まっています」
新東名高速道路の浜松SA下り線の横にある「コネクトエリア浜松」。2018年に全国に先駆け、関東と関西間で荷物を運ぶトラックの中継拠点として開業。2台のトラックがこの場所で落ち合い、荷台を入れ替え、折り返し輸送をすることで日帰り勤務を可能にし、ドライバーの労働時間を減らそうという取り組みです。

ドライバー不足は、物流業界だけではありません。さらに深刻なのがタクシー業界。午前10時前の静鉄タクシーの配車センターをお邪魔してみると―

<静鉄タクシー 佐藤康一静岡地区長>
「今年7月、3万件の受注があり、そのうち6,000件を未配車ということで、お客さんからのオーダーはあるけど、回せなかった」
この30年でドライバーはおよそ半分に。雨の日などは「タクシーが捕まらない」状況に陥ってしまうといいます。
そこで、静鉄タクシーが力を入れているのは若手の採用です。この日、研修を受けていたのは19歳の長島さんです。
<静鉄タクシー 長島藍利さん(19)>
「慣れないことですが、周りの先輩方がやさしくて、すごく頼りになるので、やっていて楽しいなと思う」
2022年のタクシードライバーの平均年齢は58.3歳。ドライバーの高齢化は、タクシー会社にとっては死活問題です。
<静鉄タクシー総務部 村松大介総務課長>
「若い社員が入ると業界のイメージ、ドライバーに対するイメージもよくなると思う」
ドライバーの勤務時間の制限までは残り半年。わたしたちの生活を支えるドライバー不足の問題は待ったなしの状況です。
政府が10月6日取りまとめた「物流革新緊急パッケージ」では、
▼再配達率の半減に向けて「置き配」や「ゆとりのある日付指定」を選択した消費者にポイントを還元すること
▼鉄道や船を使った輸送量を今後10年程度で倍増させること
などが盛り込まれました。
物流業界では、トラックドライバーの人手不足や輸送量の減少が懸念される「2024年問題」への対応が急務となっています。