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激闘続く 夏の高校野球第4日

 全国高校野球選手権静岡大会4日目は、2回戦の残り16試合を行い、シード4校が初戦を突破しました。静岡大成は2004年の創部以来初の夏2勝を挙げました。ダイジェストをお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

 ⇒大会第4日の試合結果や3回戦の組み合わせは速報ページでご確認いただけます

シード4校が初戦突破 東海大翔洋や常葉大菊川も勝利

 第103回全国高校野球選手権静岡大会第4日は18日、草薙など8球場で2回戦の残り16試合を行い、第2シード掛川西、第3シード浜松工などシード4校が初戦を突破した。ノーシードながら投打に力のある東海大翔洋や常葉大菊川、御殿場西、島田商、聖隷クリストファーなども3回戦に駒を進めた。浜松工は救援した2年の左腕太田涼介が静清の反撃を食い止めた。静岡大成は2004年の創部以来初の夏2勝を挙げた。大会第5日は20日、草薙など8球場で3回戦16試合を行う。

静岡大成―浜松城北工 勝利の校歌を聞き終え、スタンドに向かってかけ出す静岡大成ナイン=草薙球場
静岡大成―浜松城北工 勝利の校歌を聞き終え、スタンドに向かってかけ出す静岡大成ナイン=草薙球場

■きのうの結果(2回戦)
▽あしたか球場
加藤学園9―4掛川東
桐陽9―6浜松東
▽富士球場
浜松湖北8―2富士宮北
静岡市立12―2富岳館(5回コールド)
▽清水庵原球場
東海大翔洋5―3富士
富士東7―6静岡学園
▽草薙球場
静岡大成4―1浜松城北工
磐田南12―2吉原(6回コールド)
▽焼津球場
清流館5―2韮山
榛原10―1清水西(7回コールド)
▽島田球場
島田商4―0駿河総合
御殿場西8―2城南静岡
▽掛川球場
掛川西8―0島田樟誠(7回コールド)
常葉大菊川11―0静岡農(5回コールド)
▽浜松球場
浜松工7―4静清
聖隷クリストファー8―0伊東商(7回コールド)

2004年の創部以来初の夏2勝 静岡大成

静岡大成―浜松城北工 8回表静岡大成2死一、二塁、岡本将が2点適時二塁打を放つ=草薙球場
静岡大成―浜松城北工 8回表静岡大成2死一、二塁、岡本将が2点適時二塁打を放つ=草薙球場
▽2回戦(草薙第1試合)
静岡大成
000100021―4
000010000―1
浜松城北工
▽二塁打 加瀬、岡本将(静)伊藤駿(浜)
▽試合時間 2時間10分

 【評】静岡大成は投打がかみ合い、浜松城北工に競り勝った。
 静岡大成は主戦渡辺が12安打を許しながらも1失点でしのいだ。打線は同点で迎えた八回2死から渡辺、寺尾の連打で一、二塁とし、岡本将の2点適時二塁打で勝ち越した。
 浜松城北工は安打数で上回りながらも11残塁を築き、波に乗れなかった。


 ■接戦で投打かみ合う エース完投 主将殊勲打
 2004年の創部以来、初の夏2勝目を挙げた静岡大成。浜松城北工との2回戦はエース渡辺が12安打を浴びながら1失点で踏ん張り、主将岡本将の決勝打で勝利をたぐり寄せた。横山監督は「しびれました。岡本将の一打は3年間で一番いい当たりじゃないかな」と感慨をかみしめた。
 八回2死一、二塁で打席の9番岡本将は「1番につなぐ意識だった」。2ボール2ストライクと追い込まれたが、内角寄りに甘く入った直球を強振すると打球は伸びて右翼の頭を越えた。その裏に迎えた無死二、三塁のピンチで渡辺がギアを上げた。「自分なら抑えられると焦らずに投げた」。力のある直球で押し、後続を三者凡退に仕留めてみせた。
 自己主張が強く、まとまりのなかった3年生がチャンス、ピンチに一丸となった。守備は無失策。「全員で一球一打に向かっていけた」と岡本将。目標である創部初のベスト16まであと1勝。昨夏の覇者聖隷クリストファーとの次戦でも岡本将は「ノーミス、ノーエラーで」粘り強く食らいつく。

東海王者・掛川西はコールド勝ちの好発進

島田樟誠―掛川西 2回裏掛川西無死、大勢の生徒が応援する中、榊原が中前打を放つ=掛川球場
島田樟誠―掛川西 2回裏掛川西無死、大勢の生徒が応援する中、榊原が中前打を放つ=掛川球場
▽2回戦(掛川第1試合)
島田樟誠
0000000―0
013400×―8(7回コールド)
掛川西
▽本塁打 河原崎(掛)
▽暴投 孫2(島)
▽試合時間 1時間39分

 【評】掛川西が無失点で島田樟誠にコールド勝ちした。
 掛川西は先制後の三回、狩俣が中前打で出塁すると、松浦と中山の適時打などで3点を加えた。四回は河原崎の2点本塁打が飛び出した。先発の榊原が5回を2安打に抑え、続く沢山は2回を無安打に封じた。
 島田樟誠は小野紘が2安打と健闘したが、及ばなかった。


 ■島田樟誠を7回コールド 沢山「気持ちよく投げた」
 掛川西伝統の大応援団が2年ぶりにスタンドを埋め、団旗が風に揺れた。
 春の東海大会を制した掛川西の初戦を見届けようと多くの観客が駆けつけた掛川球場。学校応援には応援団指導部や吹奏楽部、1年生ら約400人の生徒が参加した。感染対策で声を出すことができないため、水色のメガホンを2本ずつ持って熱い視線を送った。73代応援団長の3年小沼創志さんは「一年間届けられなかった思いを野球部に伝えられたら」と意気込んだ。
 「掛西の応援の元で野球をしたい」と入学した左腕沢山は初めて、大応援の中でマウンドに。六回から登板し、相手の出塁を許さなかった。「緊張もしたが、応援されていると感じて気持ちよく投げることができた」と振り返った。

浜松工は左腕対策が的中 静清の反撃食い止める

浜松工―静清 2回表浜松工2死二塁、伊藤が先制の適時打を放つ=浜松球場
浜松工―静清 2回表浜松工2死二塁、伊藤が先制の適時打を放つ=浜松球場
▽2回戦(浜松第1試合)
浜松工
010022110―7
000022000―4
静清
▽二塁打 伊藤、平井、近藤爽(浜)▽暴投 細窪(浜)上原裕(静)
▽試合時間 2時間13分

 【評】序盤から優位に試合を進めた浜松工が、粘る静清を振り切った。
 浜松工は二回、伊藤の二塁打で先制。五回には平井の適時打などで2点を追加した。その後も敵失や四死球に長短打と足技を絡めて得点を重ねた。
 静清は五回と六回に2点ずつを返して追い上げたが、守りのミスが痛かった。


 ■直前練習試合で惜敗 静清に雪辱 継投策も「ぴたり」
 第3シード浜松工の初戦の相手は、大会前の練習試合で1点差で惜敗した“難敵”の静清。2週間前から相手の主戦藤野を想定し、左投手の変化球を徹底的に打ち込んだ。先制の適時二塁打を放った伊藤は、練習試合で3打数無安打と抑え込まれた。この日は変化球を左翼に運び、「イメージ通りに対応できた」と声を弾ませた。
 守っては先発の細窪に代わり、7回途中から登板した左腕の太田涼が無失点に抑える好救援で傾きかけた流れを引き寄せた。左右2本柱の継投に、矢部監督は「ぴたりとはまった」と納得の表情を浮かべた。
 今夏から背番号1を背負う太田涼は「春と違った雰囲気で緊張した」と振り返ったが、安定した投球を披露。最後の打者を内野フライに打ち取ると、仲間と一緒に喜びを爆発させた。「3年生と一日でも長く野球をやるために全部出し切りたい」。2年生エースは、強豪校がひしめく激戦ブロックを勝ち抜く決意を新たにした。
 
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浜松工-静清 7回途中から登板し、3回を2安打無失点と好投した浜松工の太田涼=浜松球場