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風味爽やか 梅酒の調理方法は?

 ことしも自家製梅酒の仕込みが一段落する時期を迎えましたが、以前漬けた梅酒が残っている人も多いのではないでしょうか。ロックや水割りだけでは飽きてしまったという人におすすめの一手間加えたドリンクや料理の活用法を紹介します。
 〈文化生活部・鈴木侑季、宮城徹、浜松総局・中井公一〉

「日本酒の感覚で使って」浜松の料理研究家 杉田久子さんレシピ

 浜松市南区の「クッキングスタジオチャコ」校長の料理研究家杉田久子さん(SBS学苑浜松校講師)に、梅酒を使った4品のオリジナルレシピを提案してもらった。

杉田久子さん
杉田久子さん

 梅酒を料理に用いるとほんのりとした梅の香りや甘味、爽やかさが加わる。杉田さんは「今のような蒸し暑い季節にはぴったり。旬の食材を使った料理と組み合わせて」と指南する。和洋中と何にでも取り入れやすいが、特に煮物やデザートに使うのがお薦めといい、「日本酒のような感覚で使える」と話す。
 「ナスと鶏そぼろの梅酒煮」はさっと仕上がる一品。梅酒を加えることでまろやかな味わいになる。ナスに入れる切り込みは油を吸い込みやすくし、火の通りを良くするため。見た目も良くなる。
 ハート形が目にも楽しいのが「夏野菜のピクルス」。食材をゆでると味が染み込みやすくなる。好みでピクルス液に唐辛子を加えても、ピリッとしておいしくいただける。瓶を熱湯消毒する際は、一度50~60度ほどに温めてから熱湯で消毒すると瓶の破損を防げる。
 ひと味違ったフレーバーが味わえるドリンク「梅酒と紅茶のクミン風味」はアールグレイだけでなく、好みの紅茶と合わせて楽しんで。クミンはカレーや鶏肉のソテーなどに用いられる。「梅干しやシソに合う香辛料なので、梅酒とも相性がいい」と杉田さんは薦める。入れる量は味をみながら調整する。
 「夏野菜とフルーツの梅酒元気ゼリー」はのど越しが良く、食欲がないときに野菜や果物の栄養が摂取できる。

【レシピ】ナスと鶏そぼろの梅酒煮/夏野菜のピクルス

 ■夏野菜のピクルス

夏野菜のピクルス
夏野菜のピクルス
【材料】(300ミリリットルの瓶2個分)
 キュウリ1本、パプリカ赤1個、パプリカ黄1/2個、大根3センチ、切り干し大根(花形)20グラム、ピクルス液(水150ミリリットル、酢80ミリリットル、梅酒大さじ4、塩小さじ1、粒コショウ適量、ローリエ1枚、きび糖小さじ1)
 【作り方】
①キュウリはへたを切り落とし、ハートの型で抜く。パプリカ(赤、黄)、4ミリ幅の輪切りにした大根もハートの型で抜く。
②鍋にたっぷりの湯を沸かし、❶と切り干し大根を20秒ほどゆでて水気を切り、粗熱を取る。
③鍋にピクルス液を入れて中火にかけ、混ぜながら加熱し煮立ったら火を止めて冷ます。
④保存瓶を熱湯消毒し、❷と❸を入れて冷蔵庫で1日以上おく。
   ■ナスと鶏そぼろの梅酒煮
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 【材料】(3~4人分)
 ナス4本、ショウガ1片、サラダ油大さじ2、鶏胸ひき肉40グラム、A(だし100ミリリットル、しょうゆ大さじ1と½、梅酒大さじ3~4、きび糖大さじ½)、刻み青ネギ適量
 【作り方】
 ①ナスはへたを切り落として縦半分に切り、皮に2~3ミリ間隔で浅く切り込みを入れる。さらに縦半分に切る。
 ②ショウガは皮付きのまま、粗みじん切りにする。
 ③フライパンにサラダ油大さじ½を入れ、鶏胸ひき肉と❷を加えて中火で炒める。肉に火が通ったらいったん取り出す。フライパンをきれいにし、残りのサラダ油を入れ、ナスの皮を下にして並べて中火にかける。皮側に火が通り、全体的にきれいな紫色になったらナスを返して残りの2面を軽く焼く。
 ④取り出した鶏胸ひき肉とAを加え、中火で2~3分煮る。
 ⑤❹を器に盛り、青ネギを散らす。
 

【レシピ】梅酒と紅茶のクミン風味/夏野菜とフルーツの梅酒元気ゼリー

 ■夏野菜とフルーツの梅酒元気ゼリー

 【材料】(100ミリリットルのグラス4個分)
 梅酒130ミリリットル、水150ミリリットル、グラニュー糖大さじ2、ミニトマト(湯むき)8個、粉ゼラチン8グラム(5倍量40ミリリットルの冷水でふやかしておく)、レモン汁小さじ1、冷凍アボカド40グラム、冷凍枝豆8粒、冷凍アップルマンゴー60グラム、トウモロコシ(粒)、かのこ、ミント各適量
 【作り方】
 ①鍋に梅酒、水、グラニュー糖、ミニトマトを入れ、火にかける。沸騰する手前で火を止め、粉ゼラチンとレモン汁を加え、粗熱を取る。
 ②❶にアボカド、枝豆、アップルマンゴーを加え、グラスに分けて入れ、冷蔵庫で冷やす。
 ③1~2時間後、❷が固まったらトウモロコシ、かのこ、ミントをのせる。

 ■梅酒と紅茶のクミン風味
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 【材料】(1人分)
 紅茶(アールグレイ)100ミリリットル、氷適量、梅酒50ミリリットル、クミンパウダー適量
 【作り方】
 ①紅茶を水出しにしておく(2~3時間)。
 ②グラスに氷を入れ、梅酒、❶を加え、クミンを入れる。

甘さすっきり、優しい香り…市販の梅酒おすすめは?

 原料や製法の違いから、市販の梅酒にはさまざまな特徴がある。静岡市清水区に店舗を構える篠田酒店の篠田和雄さん(61)にイチ押しを聞いた。

 「果肉入りのどろっとした粗ごしの商品は根強い人気がある。一方で、甘みを抑えてすっきりした味は抵抗なく飲めると支持されている」。他の酒と同じく、梅酒も飲みやすさがファンを増やす傾向はあるようだ。
 志太泉酒造(藤枝市)の「純米梅酒梅丸」は、地元産の梅を静岡酵母の純米酒に漬け込んで製造。甘すぎず品の良い飲み口は女性にも人気だ。「ストレートで飲みやすく、暑い日は炭酸で割るのも爽快」と梅雨明けには大いに楽しめそう。
 同じく日本酒ベースで紹介するのは、三和酒造(静岡市清水区)の「臥龍梅梅酒純米吟醸酒仕込み」。ほのかなコクと優しい香りは「氷一つですいすい飲める。ご夫婦が日本酒と合わせて買い求めていく姿がよく見られる」と地元でも愛されている銘柄だ。
 県内の酒蔵では焼酎や本みりんを使った梅酒もファンは多い。「気軽に飲み比べられるのが市販の商品の面白さ」。多彩な商品を生かして、好みの飲み方を見つけてみたい。