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山梨県 ぐっと近くに

 静岡県と山梨県を結ぶ中部横断自動車道が、9月に全線開通する見通しとなりました。両県のひと・もの・しごとのアクセス向上が期待されます。具体的な経済効果や関係する動きをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

未開通区間13・2キロの整備にめど

 中部横断自動車道の静岡県と山梨県を結ぶ区間が9月に全線開通する見通しになったことが27日、関係者への取材で分かった。地盤が想定外に悪かったことなどから開通延期を繰り返していた。全線開通によって、首都圏と中京圏を結ぶ大動脈となっている東名・新東名高速道と中央自動車道が、南北の高速道路で直結し、物流などのアクセスの飛躍的な向上が期待される。

中部横断自動車道の整備状況
中部横断自動車道の整備状況
 中部横断道は長野県小諸市から静岡市清水区までを南北に結ぶ高速道路。静岡―山梨間は当初、2017年度の開通を予定していたが、掘削土から重金属が検出されるなど工事が難航し、これまで3度延期された。
 山梨県内の下部温泉早川インターチェンジ(IC)と南部ICの区間13・2キロが未開通となっていて、昨年12月にこの区間のトンネルでコンクリートのへこみやひび割れなどの施工不良が見つかった。国土交通省は開通時期への影響を検討していた。
 同横断道は新東名新清水ジャンクション(JCT)と南部IC間、中央道双葉JCTと下部温泉早川IC間は開通済み。国交省と中日本高速道路が分担して整備した。
 (2021/04/27)

開通効果8850億円 山梨大など分析 縦軸経済圏、リニアに対抗

 静岡、山梨両県で整備が進む中部横断自動車道新清水ジャンクション(JCT)-増穂インターチェンジ(IC)間の開通による経済波及効果について、静岡県の実質所得変化が年間182億円、山梨県は135億円、長野県は17億円となり、3県の中で静岡県への経済効果が最も大きくなるとの分析結果を8日、山梨大と山梨経済同友会が発表した。

 同大などによると、静岡県への経済効果は開通で輸送機械や化学製品の生産が活発化して大きく伸びると推測。1世帯当たり年間1万3100円の所得増加が見込めると算出した。静岡県の産業生産額も開通で年間550億円増え、3県で最大の恩恵を受けるとした。
 一方、開通による経済効果の総額は、全国で8850億円に上るとし、整備にかかる総費用6345億円を上回る見通しだという。山梨、静岡県間の交通量は未開通時と比べ、貨物が30%超、旅客は34~40%程度増えるとの予測も明らかにした。
 同大の武藤慎一准教授は「リニア中央新幹線が開通すると(都市部に人や金が吸い上げられる)ストロー効果が懸念される」と指摘。その上で「中部横断道が開通すれば(静岡、山梨の)縦軸の経済圏ができ、対抗できる」と強調した。
 (2019/11/09)

静岡銀行、山梨中央銀行 協業加速 金融サービス需要拡大見込む

 静岡銀行グループの静銀ティーエム証券の山梨本店が20日、山梨中央銀行本店(甲府市)内にオープンし、両行の包括業務提携「静岡・山梨アライアンス」が目に見える形で動きだした。昨年10月の締結から約半年。厳しさを増す地銀の経営環境を念頭に、両行は新拠点の業務展開を今後の協業の試金石と位置付ける。

山梨中央銀行の関光良頭取と意見を交わす静岡銀行の柴田久頭取(右奥)=甲府市
山梨中央銀行の関光良頭取と意見を交わす静岡銀行の柴田久頭取(右奥)=甲府市
 「ここまでの取り組みに育ってきた。さらに加速していきたい」。オープン式典後に開かれたトップ同士の定例会で、静岡銀の柴田久頭取は連携の必要性で一致した昨年7月からの経過を振り返り、決意を新たにした。
 両行は提携合意後、3階層のプロジェクトチームを設置。部長級では地方創生や市場金融、事務共同化など10の分科会を設置し、今年3月末までに延べ80回を超えた。取引先の課題解決やデジタル分野の人事交流も進む。
 静銀ティーエム証券山梨本店は一連の取り組みの「大きなメルクマール(指標)」(柴田頭取)となる。両行は企業の合併・買収(M&A)情報の共有や高度な金融サービス、協調融資で新たなビジネスモデルの構築と収益基盤の拡大を目指す。証券機能がなかった山梨中央銀は、静銀ティーエム証券の業務開始により資産形成や資産運用などの顧客サービスが拡充できる。
 両県をつなぐ中部横断自動車道の整備は追い風。物流や商流が勢いを増して経済的な結び付きが強まれば金融サービス需要の拡大余地は大きいと見込む。両県は相互の特産品の消費喚起に取り組む「バイ・ふじのくに」を展開し、新たな経済圏の構築を目指している。山梨中央銀の関光良頭取は国道138号バイパスの開通にも触れ「あらゆる面で交流が活発になる」と期待を込めた。
 (2021/04/21)

御殿場⇔甲信越アクセスも向上 新東名延伸、富士山周遊観光に期待

 新東名高速道の御殿場ジャンクション(JCT、御殿場市駒門)―新御殿場インターチェンジ(IC、同市仁杉)間の7・1キロが10日、開通した。同市と山梨県に続く東富士五湖道路をつなぐ国道138号バイパス(BP)の須走口南IC(小山町須走)-ぐみ沢IC(同市中畑)間の5・2キロも供用開始した。

新東名高速道 10日に開通した区間
新東名高速道 10日に開通した区間
 新御殿場ICと同BPは連絡路で直結する。新東名から東富士五湖道路の先にある中央自動車道まで自動車専用道路でつながり、静岡県と甲信越のアクセスが向上する。土日を中心に慢性化していた国道138号の渋滞緩和により地元住民の利便性向上が見込まれる。
 新東名の残る未開通区間は新御殿場IC―伊勢原大山IC(神奈川県伊勢原市)間の39キロ。2023年度までに順次開通する予定。
 (2021/04/12)