あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

⚽清水エスパルス、J1昇格懸けた最終戦 東京Vとの勝負の行方は

 J1昇格を懸けたプレーオフ。清水エスパルスは25日、準決勝で山形と引き分け、辛くも決勝進出を決めました。最終戦の相手、東京Vには今シーズン負けなしです。静岡県民としては、そのままの勢いで―と願いたいところですが、決勝は一発勝負、何が起こるか分かりません。過去2戦に大一番を占うヒントがあるかも? 今シーズンの清水ー東京Ⅴの戦いを中心に振り返ります。運命の一戦は12月2日午後2時5分キックオフです。
⇒清水エスパルスの記事一覧

プレーオフ準決勝 清水はスコアレスドローで決勝へ

 サッカーJリーグ2部(J2)は11月25日、J1昇格プレーオフ準決勝を静岡市清水区のIAIスタジアム日本平で行った。リーグ戦4位の清水エスパルスは同5位のモンテディオ山形と0-0で引き分け、リーグ戦順位のアドバンテージで12月2日に開催されるプレーオフ決勝に進出した。

山形に引き分けてJ1昇格プレーオフ決勝進出を決め、笑顔で声援に応える清水の選手=25日午後、静岡市清水区のIAIスタジアム日本平(写真部・小糸恵介)
山形に引き分けてJ1昇格プレーオフ決勝進出を決め、笑顔で声援に応える清水の選手=25日午後、静岡市清水区のIAIスタジアム日本平(写真部・小糸恵介)
 清水は山形の厚みのある攻撃に苦しめられたが、GK大久保択生(34)の安定した対応を中心に最後までゴールを守った。決勝は26日に行われる東京ヴェルディ対ジェフユナイテッド千葉の勝者と対戦する。

   ▶⚽写真特集 詳細はこちら


▽準決勝(アイスタ)観衆15742人
清水(J2・4位) 0(0―0 0―0)0 山形(J2・5位)

【評】清水は最後まで山形にゴールを許さず、引き分けた。
 守備網の背後を徹底して突く相手の攻めに苦しんだ。押し込まれた序盤には前半6分、19分と相次いでシュートを打たれた。後半にもピンチがあったが、GK大久保を中心に守り切った。
 前線を含めた高い守備意識で徐々に流れを引き寄せると、乾やチアゴサンタナらがゴールに迫った。後半には原やカルリーニョス、北川に決定機があったが得点は遠かった。

カルリーニョス、北川 途中出場の攻撃陣に見せ場
photo03
後半、清水・カルリーニョス(左)が放ったシュートはポストに阻まれる=アイスタ日本平
photo03
後半、清水・北川(左)が放ったシュートは惜しくも外れる=アイスタ日本平

 得点こそなかったが、後半から途中出場した清水の攻撃陣が相手ゴールに迫り、見せ場をつくった。
 先発を外れたカルリーニョスが後半12分から左サイドに入り、攻撃に厚みを生み出した。最大のチャンスは23分。ハーフウエーライン付近で球を受けると、ドリブルで持ち上がり、右足を振り抜いてミドルシュート。惜しくもポストに当たったが、相手を震え上がらせた。
 試合最終盤に観客を沸かせたのは北川だ。後半22分から普段とは違う右サイドに入り、ゴールをこじ開けようと奮闘。追加時間に右足でカーブを掛けたシュートはわずかに枠を外れた。結果に満足した様子はないが、「次勝てばJ1に戻れる」と次戦を見据えた。
 (運動部・名倉正和)

大久保、決勝導く好セーブ 権田離脱で出番
photo03
後半、相手のシュートを防ぐ清水GK・大久保(中央)=アイスタ日本平

 清水の背番号1は試合終了の笛が響くと緊張を解くように白い歯を見せ、守備陣と無失点に抑えた達成感をかみしめた。負ければ終わりの一発勝負のプレーオフで、リーグ戦全試合控えだったGK大久保が先発。最後まで山形の攻撃陣の前に立ちはだかり、チームを決勝に導いた。
 リーグ戦フルタイム出場のGK権田が16日の練習で頭部に球を受け、状態不良により離脱。シーズンを通してサブの立場から味方を支え続けてきた守護神に出番が回ってきた。重圧のかかる大一番。それでも、「自分の良いところを出そう」とプロ16年目のベテランに気負いはなかった。
 勝利が必須の山形は立ち上がりからゴール目がけて襲いかかってきた。前半3分のミドルを皮切りに次々とシュートが枠を捉える。しかし、「はっきりプレーしよう」と意識してピッチに立った大久保が確実にはじき返す。最大のピンチだった後半3分の至近距離からのシュートも素早く右手を伸ばして当て、懐に収めた。
 主将のDF鈴木は試合が終わると真っ先に大久保に駆け寄った。「この結果は択生さんのおかげ」。誰よりも早くクラブハウスを訪れ、入念な準備の下でひた向きに日々の練習に臨む先輩の背中を見ていた仲間は、心一つに力を合わせてゴールを死守した。
 もちろん、チームとしてもろ手を挙げて喜べる結果でないことは誰もが分かっている。「ゴールをこじ開けるところは宿題」と秋葉監督。1週間の準備に全力を尽くし、昇格を懸けた集大成の90分に挑む。
 (運動部・市川淳一朗)
<2023.11.26 あなたの静岡新聞>

決勝の相手、東京Ⅴには今季2戦2勝 昇格には勝利が絶対条件

 J2清水は12月2日に敵地の東京・国立競技場でJ1昇格プレーオフ決勝の東京V戦に臨む。リーグ戦順位が下の清水が昇格を手にする条件は、勝利のみ。リーグ最少失点を誇る東京Vの堅守を攻略できるかが焦点だ。

清水と東京Ⅴ 今季リーグ戦のデータ
清水と東京Ⅴ 今季リーグ戦のデータ
 東京Vは組織的で隙のない守備を武器に、リーグ戦42試合で31失点。半数を超える23試合で無失点を記録し、リーグ戦のラスト2試合も完封勝利で締めている。
 時間帯別に見ると、特に堅さが光るのが後半31分以降で、リーグ最少の3失点。終盤を手堅く進め、逃げ切る試合運びが浮かび上がる。実際に先取した試合は19勝2分け1敗と高い勝率を残している。
 ただ、清水にとっての好材料は今季の対戦成績が2戦2勝と相性が良いこと。4月の対決では、東京Vが今季先取した試合で唯一の黒星を付けた。決勝点は終了直前と、相手の得意の展開を破った試合でもあった。秋葉監督は「自分たちの得点の奪い方を出せるか」と戦いを見据える。
 両チームはJリーグ初の公式戦となった1992年ヤマザキナビスコカップの決勝をはじめ、創生期を中心に名勝負を繰り広げてきた歴史がある。公式戦の対戦成績は東京Vが26勝4分け20敗と上回る。国立での対戦は東京Vが6勝、清水が3勝。清水が初タイトルを獲得した96年ヤマザキナビスコカップ決勝の舞台にもなった。
(運動部・市川淳一朗)
<2023.11.30 あなたの静岡新聞>

【4月の1戦目】オセフンが後半45分、CKを頭で合わせ劇的逆転

 明治安田J2リーグは4月8日、各地で第8節の10試合が行われ、清水は東京Vに2-1で逆転勝ちし、今季初白星を挙げた。

清水―東京V 後半45分、決勝ゴールを決めて喜ぶ清水・オセフン(右)。中央は前半終了間際に同点ゴールを決めた北爪=アイスタ日本平(写真部・小糸恵介)
清水―東京V 後半45分、決勝ゴールを決めて喜ぶ清水・オセフン(右)。中央は前半終了間際に同点ゴールを決めた北爪=アイスタ日本平(写真部・小糸恵介)

 ①アイスタ▽観衆10418人
 清水 1勝5分け2敗(8) 2(1―1 1―0)1 東京V 5勝1分け2敗(16)
 ▽得点者【清】北爪(1)オセフン(1)【V】林(1)

 【評】清水は劣勢をはね返し、東京Vに逆転勝ちした。
 前半6分に相手CKのこぼれ球を蹴り込まれて先制を許し、出ばなをくじかれた。しかし攻勢に出てゴールに迫り、35分にチアゴサンタナ、44分に岸本に決定機。相手の守備に阻まれていたが、追加時間に北爪が決め、追い付いて折り返した。
 後半は押し気味に試合を進めながらゴール前を崩し切れず。交代枠を使い切って圧力を強め、45分にオセフンがCKを頭で沈めた。
 努力のオセフン決勝弾 上昇気流つかめ
 長かったトンネルをようやく抜け出した。清水は開幕から8試合目での今季初勝利。新体制となって初のリーグ戦で、白星から遠ざかり続けていた悪い流れを断ち切った。
 FWオセフンが精いっぱい突き出した頭がチームを救った。後半45分のCK。24歳の韓国人ストライカーは相手選手のマークを体で制しながら、中央に蹴り込まれた浮き球に合わせて跳び上がった。確実に捉えたヘディングシュートがネットに吸い込まれた。
 出番が限られても向上心を失わずに鍛錬を続けてきた。今季のリーグ戦出場はここまで2試合のみ。ルヴァン杯で得点を決めてもリーグ戦のメンバーから外れた。それでも練習への姿勢は変わらず、体は昨年より一回り大きくなった。「チームの皆で生んだゴール」と謙遜したが、努力を知る仲間たちの歓喜の輪が周囲にできた。
 秋葉監督の求める攻撃的な姿勢も勝利を呼び込んだ。同点弾は右サイドバックに入るDF北爪がもたらした。前めの位置取りをすればそれだけ守備時にリスクを伴うポジションだが、「チャレンジを評価してくれる」という指揮官の下でゴール前に進入し、蹴り込んだ。
 秋葉監督は「これがチームの本来持っている力。まだ一つ勝っただけ」とかぶとの緒を締める。開幕から足踏みを続けてきたチームがやっと、上を向いて歩みを始める。
 (運動部・市川淳一朗)
<2023.4.9 あなたの静岡新聞>

【8月の2戦目】鈴木唯が前半に先制弾 1点差守り切る

 明治安田J2リーグは8月6日、9試合が行われ、清水は東京Vとの上位対決を1-0で制した。両チームは勝ち点49で清水が得失点差の3位。

東京V―清水 前半、ゴール前に攻め込む清水・鈴木唯(左)=東京・味スタ(写真部・二神亨)
東京V―清水 前半、ゴール前に攻め込む清水・鈴木唯(左)=東京・味スタ(写真部・二神亨)

 ②味スタ(清水2勝)▽観衆17802人
 清水 13勝10分け6敗(49) 1(1―0 0―0)0 東京V 14勝7分け8敗(49)
 ▽得点者【清】鈴木唯(1)

【評】清水は前半に奪った1点を守り、東京Vを下した。
 序盤から思い通りに敵陣に球を運べず、相手のカウンター攻撃を受ける劣勢の展開が続いた。しかし前半35分、鈴木唯がゴール前での好機を仕留めて先制に成功した。
 システムを変えて臨んだ後半は流れを引き寄せて優位に試合を運んだ。16、31分にカルリーニョスが迎えた決定機はものにできなかったが、終盤の相手の反撃を耐えて2戦連続完封を達成した。

鈴木唯 復帰弾が決勝点
 大勝負を制した。清水は勝ち点3差で追っていた東京Vを破り、入れ替わりで今季最高の3位に浮上。2戦続けて最少得点を守り切る内容に、「タフで粘り強いチームになってきた」と振り返る秋葉監督の言葉はいつにも増して力強い。
 立役者はフランス1部ストラスブールへの期限付き移籍から復帰後、初先発となったMF鈴木唯だ。前半35分、ゴール前で跳ねた球にタイミングよく右足を合わせた。「落ち着いてうまく当てられた」と言う技ありの一撃は、ポストに当たってネットを揺らした。
 チームに合流してまだ3週間余り。状態は万全にはまだ遠い。それでも「自分が出ている意味を要所で示す」とピッチに立った。背番号23にとって昨年5月以来の清水でのゴールは、白星を呼び込む決勝点となった。
 後半は3バックに布陣を変えながら、けがから復帰のMF乾、家族の事情で離脱していたFWチアゴサンタナと役者を次々投入。攻めの姿勢で追加点を狙いながら試合を押し切った。自陣でも堅く守り、2戦連続の無失点にDF高橋も「自信になる」とうなずく。
 昇格を争うライバルとの直接対決となった今節は「こういうゲームを勝ちきり、自分たちの力を証明しながらJ1に上がるという作業をやっていかないと」(DF井林)と臨んだ一戦だった。有言実行の結果で、J1自動昇格圏の2チームの追走へ弾みを付けた。
 (運動部・市川淳一朗)
 <2023.8.7 あなたの静岡新聞>