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街の新ランドマーク 静岡駅北再開発ビル起工 経過振り返り

 JR静岡駅北口から御幸町通りを少し上がった所、更地が出現して「何ができるんだろう」と期待されていた方も多いでしょう。地下1階、地上15階建て再開発ビルの建設が始動しました。2024年2月完成の予定です。
 これまでの経緯を1ページにまとめます。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・松本直之〉

起工式には市長も参加 総事業費は約88億円

 JR静岡駅北口前の地下1階、地上15階建て再開発ビルの起工式が17日、静岡市葵区で行われた。再開発組合の植田聞滋理事長や田辺信宏市長、建設、設計関係者ら約40人が工事の無事を祈った。完成は2024年2月の予定。

起工式であいさつする植田聞滋理事長=17日午前、静岡市葵区
起工式であいさつする植田聞滋理事長=17日午前、静岡市葵区
 建設地は御幸町通り沿いで、施工地区面積は約3千平方メートル。延べ床面積約1・8ヘクタールで、商業施設や専門学校などが入る。総事業費は約88億円。
 植田理事長は「北口の新たなランドマークとして、にぎわいの創出と交流の拠点になることを目指す」とあいさつした。


地権者ら再開発組合 2020年9月に設立認可

再開発のイメージ
再開発のイメージ
 ※2020.9.29 静岡新聞朝刊から
 JR静岡駅北口の静岡市葵区御幸町・伝馬町エリアで大型複合ビルの再開発計画を進める地権者が28日、市から正式な組合設立認可を受けた。ビルは地下1階地上15階建てで、静岡デザイン専門学校や商業施設、オフィスが入る予定。総事業費88億円。
 同日設立したのは「御幸町9番・伝馬町4番地区市街地再開発組合」。エリアは松坂屋静岡店北側の御幸通り沿いの約3千平方メートル。来年4月から現在の建物の解体に入り、2022年度の着工、23年度中の完成を目指す。
 事業概要によると、ビルの延べ床面積約1万8千平方メートル。地下1階から地上2階が商業店舗、3階はオフィスとなる。4階から12階は、近隣の静岡デザイン専門学校など、静岡理工科大グループ傘下の専門学校が入る予定という。
 JR静岡駅からの地下道と再開発ビルを接続するほか、再開発エリア前の歩道などを現在から2メートルほど広げて、街中への回遊性を高める。専門学校、商業施設の誘致で若者を増やし、まちのにぎわい創出につなげる。

計画が明らかになったのは2020年1月 静岡新聞の特報

再開発で大型複合ビルが建設されるエリア(赤枠部分)
再開発で大型複合ビルが建設されるエリア(赤枠部分)
 ※2020.1.16 静岡新聞朝刊から
 JR静岡駅北口の静岡市葵区御幸町・伝馬町エリアで、商業施設や専門学校、オフィスなどが入る大型複合ビルの建設を地権者らでつくる再開発準備組合が計画していることが15日までの取材で分かった。2022年度にも着工し、23年度中の完成を目指す。
 再開発エリアは松坂屋静岡店北側の御幸通り沿いの約3千平方メートル。計画によると、大型複合ビルは地下1階地上14階建て、延べ床面積約1万8千平方メートル。地下1階から地上2階が商業店舗、3階以上は事務所や専門学校が入る見通し。JR静岡駅からの地下道と再開発ビルをつなぐほか、地上の歩道などを現在から2メートルほど広げ、安全性や回遊性を高める。
 地権者は9者で、現在はFDAビルディング、鈴与静岡駅前ビルのほか、飲食店などが入居するビルなど8棟が建つ。御幸町9番・伝馬町4番地区市街地再開発準備組合(植田新一郎理事長)が中心となって協議を進め、都市計画決定後、夏ごろにも正式な組合を設立する。21年4月から現在の建物の解体に入る。
 準備組合の林裕司事務局長は「駅前の新たなにぎわい創出に向け、多くの人の利用が見込める施設になるよう、検討を進めていきたい」と話す。
 ※肩書、内容は掲載当時のまま

静岡市中心街 誘客へ攻勢 松坂屋など各商業施設が新戦略

 25年ぶりの大型改修を経て(4月)27日に新装開店した松坂屋静岡店(静岡市葵区)は、都市型水族館を構えるなど滞在型・体験型の店舗運営に大きくかじを切り、新型コロナウイルス禍で集客が鈍る市中心市街地に一定の衝撃を与えた。ウェブなどを通じた非接触の買い物が普及して消費行動が様変わりする中、中心街の各商業施設は客足を戻すためのリアル重視の戦略を練り、反転攻勢を図る。

多くの来店客が集まった都市型水族館=27日正午ごろ、静岡市葵区の松坂屋静岡店
多くの来店客が集まった都市型水族館=27日正午ごろ、静岡市葵区の松坂屋静岡店
 「百貨店が顧客の『目的地』になっていない。ビジネスモデルを変え、風穴をあけたかった」。松坂屋静岡店の落合功男店長は、今回の大胆な戦略の背景に強い危機感があったと明かした。
 狙ったのは、モノを売るだけでなく体験とともに消費する「コト消費」の創出。落合店長は「何かを買うか食べるかだけに偏らず、滞在して楽しい空間を提供したい」と強調する。
 静岡伊勢丹は百貨店らしさを堅持しつつ、提案力に磨きを掛ける。今月、旗艦店新宿本店での勤務経験が豊富な秋野孝三氏が社長に就任した。衣料品売り場での3D身体計測の導入や、ウェブ限定の衣料品・雑貨ブランドの実店舗誘致を目指す。秋野社長は「豊かな生活を求める顧客は存在し続ける。上質な商品をそろえ、百貨店としての存在価値を高める」と説く。
 新静岡セノバを運営する静鉄プロパティマネジメントは来店客の行動分析などデータ解析に意欲を見せる。今後、フロアごとの人の流れや密集度の把握を進め「より効率的な店舗配置や密の解消につなげ、来店客の回遊性を向上させたい」(佐藤寿康常務)。
 静岡商工会議所が2021年11月に行った中心市街地の通行量調査によると、総通行量は前年比33・1%増の38万7千人と3年ぶりに増加したが、コロナ前の19年には及ばなかった。
 中心市街地活性化を目指す「I Love しずおか協議会」の沼田千晴会長は「大型店の新たな取り組みは中心街に多くの人流を生む効果がある。周辺の個店にも足を運んでもらい、静岡の“おまち”のにぎわいにつながれば」と期待する。
 〈2022.4.28 あなたの静岡新聞〉