サクラエビ(由比・焼津)×フレンチ「La Paix」 うまみ凝縮ビスク【静岡食材と日本橋料理人】
焼き菓子のしっとりとした甘い生地との対比が、風味を倍増させるのだろうか。一口かじると香ばしいサクラエビのうま味が口の中いっぱいに広がった。
強い香りや濃厚な味わい、鮮やかな桜色。松本一平オーナーシェフ(47)にとって、サクラエビは春と秋の漁期に必ず仕入れる食材だ。「調味料感覚でも使える」という万能食材の「ソフトなカリカリ感」を意識し、仏ブルターニュ地方に伝わる菓子「ファーブルトン」に仕上げた。
同時提供する「ビスク」は滑らかな香り高いスープ。甘みを補うタマネギは入れず、サクラエビ本来の甘さを凝縮した。90ミリリットルと少量でも一皿分のスープを飲み干したくらいの満足感が味わえる濃厚な一杯だ。
「いろんな食材があると知り、もっと静岡の食材を知りたくなった」と県産食材をちりばめた静岡尽くしのコース。サバやユズ、牛肉などを用いた料理への期待が高まる前菜に仕上がった。
【サクラエビ】駿河湾の特産品。由比漁港(静岡市清水区)と大井川港(焼津市)で水揚げされる。
【La Paix】ミシュラン星付きのフランス料理店。日本の食材を生かした季節感あふれる料理を提供する。