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社説(2月6日)コロナとインフル 同時流行の拡大を防げ

 静岡県内で新型コロナウイルスの患者が増加して基準を超えたため、県が「感染拡大警報」を発令した。昨年9月29日に警報を解除して以来、約4カ月ぶりの発令。やっかいなのは、本年度当初からインフルエンザが異例の通年流行の状態にあり、昨年11月末に警報が発令されたままになっているため、新型コロナと「同時流行」になったことだ。両方の警報が同時期に重複したのは今回が初で、県は感染対策を呼びかけている。
 新型コロナの感染症法上の位置付けが、昨年5月に2類からインフルと同じ5類に移行し、コロナ禍で課せられていたさまざまな制約が解除された。重症化する患者が少なくなり、感染予防の意識が低下して対策が講じられなくなってきているのはやむを得ない面もある。だが、ほかの疾患による入院や受診が増える季節でもあり、このまま患者が増え続ければ医療が逼迫[ひっぱく]する懸念がある。警報を軽く見ずに、県民一人一人が感染防止への意識を新たにして対策を講じることが必要だ。
 新型コロナは1月22~28日の定点医療機関1カ所当たりの患者数が警報の基準の「16人」を超え、19・14人を記録した。一方、インフルは14・19人。本年度のピークだった12月の33・09人に比べれば半減したものの、まだ警報を解除できていない。1日の患者数はどちらも2千人を超えていると推定される。20歳未満の患者の割合が大きく、特に10代が目立つことも共通する。
 高齢者や基礎疾患のある人には重症化のリスクがあることを忘れてはならない。可能ならワクチン接種を検討したい。基礎疾患のない人も、高熱やのどの痛みなどの症状に見舞われる場合がある。「うつらない、うつさない」ための対策が大切だ。
 体調に違和感があればマスクを着用▽熱、せきやのどの痛みなどの症状が出たら学校や仕事を休んで療養▽せきやくしゃみが出る時は、マスクを着用するかティッシュや腕の内側で口・鼻を覆うせきエチケットを徹底―などの対応を再確認したい。緊急事態であり、県や関係機関は啓発に一層力を入れるべきだ。
 県は、症状が軽く持病のない人は休日夜間の救急外来の受診を控えて平日昼間に受診するか、自宅で療養するよう呼びかけている。自宅療養に役立つ市販薬の情報などを丁寧に提供する必要があろう。また、県によると、軽症者が会社などに検査結果や診断書を求められて受診し、外来医療逼迫の一因になっているという。このため事業者や学校に、感染まん延時はどうしても必要な場合を除きそうした受診を従業員や生徒らに求めないよう訴える。該当の企業などは対応を見直したい。

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