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沼津最古「海瀬家住宅主屋」修繕へ 25歳、21代当主が継承へCF挑戦

 現存する沼津市内最古の住宅建築とされ、8月に国の有形文化財に登録された「海瀬家住宅主屋」(同市西浦河内)が10月20日まで、大規模修繕に向けたクラウドファンディングを実施している。伝統工法の職人の減少や修繕費の大きさから、伝統住宅は各地で姿を消しつつある。21代当主のみかん農家、海瀬陽奈さん(25)は「先祖代々、苦労しながらつないだ主屋を守りたい」と力を込める。

江戸後期に建てられたとみられる「海瀬家住宅主屋」と当主の海瀬さん=沼津市西浦河内
江戸後期に建てられたとみられる「海瀬家住宅主屋」と当主の海瀬さん=沼津市西浦河内


 海瀬家は江戸から明治にかけて、旧河内村の名主や戸長を務めた旧家。屋号は「仲屋」で、先祖は武田家家臣の兄弟との言い伝えがある。文化財登録前に木造平屋建ての主屋を調査し、使用されたくぎから江戸後期(約160年前)に建てられたことが分かった。毎年7月の「天王祭」では、獅子舞神楽を奉納する舞台として使用されている。
 ただ近年は経年劣化や風雨などの影響で、約330平方メートルの大屋根が崩壊の危機にひんしている。瓦が傷んで雨漏りが生じ、現在はトタンで補強している。ふきかえには宮大工の伝統工法による修繕が必要で、1600万円以上かかることが判明した。海瀬さん一家は昨年、一般社団法人「仲屋」を設立し、主屋の文化財登録と約100年ぶりの修繕を目指すことにした。
 調査と文化財申請を支援した1級建築士の西沢正浩さん(51)によると、登録有形文化財の場合、修繕は自費でまかなう必要があり、古い民家の多くは取り壊されてしまう。「若い当主が日本の住宅や伝統工法の技術継承に挑んでいることに意義がある」とエールを送る。
 目標額は500万円。海瀬さんの親戚で、仲屋代表の望月万葉さん(61)は「物価上昇で工事費が高騰し、私たちだけでは守るのが難しい。文化財として、保存にご支援いただけるとありがたい」と呼びかけた。
 (東部総局・菊地真生)

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