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静岡人インタビュー「この人」 第28回酒田市土門拳文化賞奨励賞を受賞した 若林茂さん(三島市)

 写真家土門拳の出身地・山形県酒田市が主催する同賞。東京・新宿のニコンプラザ東京で受賞作品展が28日まで開かれている。初めての応募で、カラー30枚組みの作品「母 卒寿」が高い評価を受けた。元私立高教員で現在は非常勤講師。高校の写真部顧問の経験もある。伊豆の国市出身、65歳。

若林茂さん
若林茂さん

 ―どのような作品か。
 「この賞はただのコンテストではなく、写真家の資質を問う賞と言われる。しっかりした準備が必要と考え、10年間ほど撮りためた写真を拾い集めた。部屋の中に始まり、5月ごろから冬までの農作業を経て、再び部屋での静穏な写真になるように構成した。1枚目と30枚目にいずれも父の遺影が写り、ループさせることも意識した」
 ―母親を被写体にしたのは。
 「誰よりもシャッターを切りやすいモチーフだ。田んぼを手伝いに行く時も常にカメラを持ち、自然に撮っている。今回は労働と生活を柱にした。父が亡くなって19年、今は92歳だが、一人で過酷な畑仕事をする姿を表現したいと思った。母の生きざまの記録でもある」
 ―土門拳作品との出合いは。
 「かつて佐野美術館で『筑豊のこどもたち』を見た時、涙が出るほど感動した。今回の表彰式で弟子の方々から本人のエピソードを聞き、写真に対する情熱や執念を改めて感じた。最も影響を受けた写真家で、土門が唱えた『絶対非演出の絶対スナップ』は自分も貫いている」
 ―これからの目標は。
 「カメラや写真を楽しむ人がもっと増えるとうれしい。多くの若い人たちに興味を持ってもらうため、魅力を伝えるお手伝いができたらいいと考えている。組み写真で月例コンテストの1等賞も目指したい」

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