Ｑ　なぜスクラムを組むのですか？

　Ａ　ラグビーの原則がコンテスト（競争）、すなわちボールを奪い合うことだからではないでしょうか。悪質な反則を犯した場合はその時点で相手ボールになりますが、ボールを前に落としたり、前に投げてしまったりと軽度な反則の場合は両チーム８人同士でスクラムを組み、試合を再開します。スクラムの中にボールを投入するのは相手ですが、反則をした側も押し勝ってボールを奪い返すことができます。他にも、サッカーのスローインのようにピッチの外からボールを投げ入れる「ラインアウト」では、縦長に並んだ両チームの選手の真ん中に投入しなければならないなど、多くのルールが競争の原則に基づいています。

　―スクラムの押し合いでは反則が生じ、レフェリーが笛を吹く場面がよく見られます。

　危険防止のため故意に形を崩したり、回したりすると反則になりますが、その判断は難しく複雑です。スクラムはフォワード（ＦＷ）の職人技の世界といえるでしょう。日本代表は昔に比べると体格が大きくなり、劣勢とされていたスクラムでも世界と戦えるレベルになっています。Ｗ杯は重くて大きいＦＷの欧州勢に対し、どれだけスクラムで渡り合えるかが見どころだと思います。（回答者・本多茂東海大翔洋高ラグビー部部長）