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浜松銘菓うなぎパイ60周年

 浜松のお土産といえば、うなぎパイを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「夜のお菓子」というキャッチコピーには、夜の家族団らんの時間にうなぎパイを囲んで楽しいひとときを過ごしてほしい、という思いが込められているそうです。今年は発売60周年の記念の年。様々なイベントやユニークな取り組みが行われています。長年人気を誇る浜松銘菓のおいしさの秘訣にも迫ります。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・石岡美来〉

企業秘密のうなぎパイ、どうやって作る? 小学生が一日工場長

 菓子メーカーの春華堂(浜松市中区)は13日、一日工場長体験会を西区の産業観光施設「うなぎパイファクトリー」で開いた。公募で工場長に選ばれた中郡小5年の木野詩音さん(10)=東区=が、企業秘密になっている同社の看板商品「うなぎパイ」の製造工程などを見学した。

うなぎパイの製造工程を見学する木野さん(右)=浜松市西区のうなぎパイファクトリー
うなぎパイの製造工程を見学する木野さん(右)=浜松市西区のうなぎパイファクトリー
 うなぎパイの発売60周年記念イベント。木野さんは従業員から生産計画と出社人数の報告を受け、製菓工場内を巡回した。普段は関係者しか入室できない内部の生産ラインでは白衣に着替え、職人によるパイ生地作りから焼き上げ、検品、包装までの流れを間近で見学した。木野さんは「将来はお菓子を作る仕事をしたい」と喜んでいた。
 一日工場長は職業体験を通して菓子作りの魅力を知ってもらおうと、初めて企画した。今後は春休みや夏休みなどの長期休暇に開きたいという。
〈2021.11.15 あなたの静岡新聞〉

長さは通常の3倍以上! 60周年を記念 60センチのうなぎパイ製造

 菓子メーカーの春華堂(浜松市中区)は発売60周年記念キャンペーンとして、長さ約60センチの巨大な「うなぎパイ」を抽選で10人にプレゼントする。

長さ約60センチのうなぎパイ(上)。通常の商品(下)より3.3倍長い
長さ約60センチのうなぎパイ(上)。通常の商品(下)より3.3倍長い
 通常の商品より3・3倍長い。絶妙な温度調節が必要になるため、菓子職人が窯で生地を1本ずつ焼き上げ、最後に秘伝のたれを塗って仕上げる。8月9日まで、同社の公式ツイッターで受け付けている。
 うなぎパイは浜松特産のウナギのエキスを使った洋菓子。1961年9月に発売した。年間8千万本を生産する県内を代表する銘菓として知られる。
〈2021.7.29 あなたの静岡新聞〉※現在は応募を締め切っています。

おいしさの秘密は「師範制度」 秘伝の味を継承

 浜松銘菓の「うなぎパイ」を製造する春華堂(浜松市中区)は、うなぎパイ職人の師範制度を導入し、技術の向上と継承に力を入れている。品質を左右する手作業の正確性などに応じて、「師範」を最高位に職人を4階級に分ける仕組み。より上を目指すモチベーションにもつながり、職人が競い合いながら腕を磨いている。

若手に指導する師範の野末三知夫さん(左)=5月下旬、浜松市浜北区
若手に指導する師範の野末三知夫さん(左)=5月下旬、浜松市浜北区
 「そこに砂糖を入れる。最初の(生地の)つぶしが大事だ」「層がずれると商品にならない」―。同社浜北工場(同市浜北区)で5月26日(※2017年)、職人歴38年の野末三知夫さん(56)が身ぶり手ぶりを交えて若手に指導していた。技術、知識、人間性が優れているとして、昨秋から職人53人の頂点に立つ初代「師範」だ。
  うなぎパイは焼き上げる前に生地を棒で伸ばし、砂糖を加えて折り込む。「砂糖の量も職人の感覚。求める味や高い仕上がりは機械では出せない」と野末さんは語る。うなぎパイが誕生してから56年、代々受け継がれた“秘伝”の職人技こそがロングセラーの「生命線」という。
  そんな技術の継承を目指し、同社は一昨年から師範制度を導入した。1人の師範を頂点に「宗家」「範士」「錬士」の4階級を設け、年に2度の評価を総合して職人をランク分けする。実技による作業の正確性のほか、うなぎパイの製造工程や歴史などの知識も筆記試験で問う。あいさつ、道具の使い方も先輩や後輩と互いにチェックするなど、職人としての「心技体」を評価基準としている。
  うなぎパイの原料、作り方は発売当初から変わらないという。しかし、「作り手によって出来栄えは異なる。手作りゆえに奥が深い」と野末さん。同社は今年、創業130年を迎え「200年、300年たっても変わらぬ味を守りたい」と後進への指導を続ける。
〈2017.6.6 静岡新聞朝刊〉