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9月16日 編集長セレクト

 おはようございます。9月も折り返し地点ですね。日中は汗ばむ陽気の日も、夜になると、無性にお鍋やおでんが食べたくなります。
 知る・見る・学ぶ記事まとめ〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。この時間は、きょうの注目記事を4本セレクトしてお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・村松響子〉

ワクチン現役世代促進 静岡県内職場接種が再加速

 新型コロナウイルスワクチンの職場接種が静岡県内で再び本格化している。全国から申請が殺到したことで1カ月余り停滞していたモデルナ製ワクチンの供給が8月に再開し、各職場に行き届くようになった。関係者によると、異物混入問題の影響は限定的という。供給遅れが原因で申請数は約2割減ったが、県人口の1割近い約35万人が職場接種を利用する見込みで、現役世代への接種加速の一翼を担う。

ワクチン接種を受ける社員。県内ではワクチンの供給再開で、職場接種が加速する=2日、静岡市駿河区のシャンソン化粧品体育館
ワクチン接種を受ける社員。県内ではワクチンの供給再開で、職場接種が加速する=2日、静岡市駿河区のシャンソン化粧品体育館
 「お客さまに直接接する職種もある。ようやくスタートできた」
 シャンソン化粧品(静岡市駿河区)の大岩秀樹取締役総務法務部長はほっとした様子で話した。同社は9月2、3の両日、社員や家族ら計約千人が1回目を接種した。
 6月16日の申請から2カ月半。この間、「第5波」が猛威を振るい、社内で感染への不安が高まった。社員の田中ありささん(28)は「自治体接種はいつ打てるか分からなかったので、安心した」と話した。
 富士宮鉄工団地協同組合(富士宮市)は8月29日から3日間で11社約1100人が1回目接種を済ませた。事務局によると、接種数日前に異物混入問題が判明し、配分されたワクチンが対象ロットに該当するか確認に追われた。希望者が接種を敬遠する事態には至らなかったという。
 一方で、ワクチンの供給計画が1カ月余りずれ込んだことで自治体接種に回る人が相次ぎ、希望者が申請時より230人減少。近隣の工業団地に声を掛けるなどして定員を埋めた。同組合の遠藤英男事務局長は「一苦労した」としつつ「団地内の8割が接種する。若い人や外国人から『安心して働ける』との声があり、やって良かった」と振り返った。
 県によると、県内の職場接種は政府が受け付けを開始した6月に179件約48万人の申請があったが、8月時点で139件約34万7千人に減少した。「お盆の接種を見込んだ計画が供給遅れで狂った」(県内の団体)などを理由に、申請数ベースで約2割が取り下げられ、登録者数では3割近く減った。
 県新型コロナウイルス対策課は「供給遅れの影響は出たようだが、身近な場所で打てる気軽さが登録数の多さに表れた。接種促進の大きな後押しになる」と期待した。
 (社会部・河村英之、北井寛人)

熱海盛り土付近で不適切投棄 県と市、現所有者を6月指導

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土を含む土地の現所有者側に対し、市や県が土石流発生直前の6月下旬、現地付近で不適切な土砂の投棄を確認し、土砂搬入の中止を指導していたことが15日の市議会9月定例会で明らかになった。

盛り土を施行した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)による熱海市内でのトラブル
盛り土を施行した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)による熱海市内でのトラブル
 盛り土を含む土地は2011年2月、前所有者である神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)から現所有者が購入した。熱海市によると、伊豆山地区の住民から今年6月ごろ、現所有者が盛り土の南西側の隣接地にある大規模太陽光発電所(メガソーラー)付近で土砂を処分しているとの通報があり、市や県東部農林事務所が確認した。
 同市の宿崎康彦観光建設部長は土砂崩落の恐れがあるとし、「事故の予防を求めていく必要がある」と説明し、現在も指導を続けているとした。
 一方、斉藤栄市長は盛り土の前所有者が開発していた市内の別の土地で12年5月に土砂流出が起きた際、市が921万円を立て替えて応急工事をし、その後、費用を前所有者に請求していなかったことを明らかにした。
 斉藤市長は当時の市議会で、前所有者に費用請求と行政処分を早急に実施すると述べていたが、この日の議会で「関係機関や弁護士と相談したが費用請求、行政処分に至らなかった」と答弁した。
 市は07年7月に前所有者が所有していた山林で土砂崩れが起きた際にも162万円を負担し、土砂撤去と土留め工事を行った。斉藤市長は費用請求の事実確認について「担当職員に当時の資料を探させている。現時点で詳細は不明」と述べた。
 今回の土石流を巡り、遺族や被災者は刑事、民事の両面で土地の現旧所有者の責任を追及している。市が告発する考えがあるかどうかを問われた斉藤市長は「司法機関による解決の可能性が高まっていることから、市はそれに協力する立場にある」と述べるにとどめた。

ヤングケアラー実態調査へ 静岡県、9月補正予算案に計上 小5~高3対象

 静岡県は本年度、家族やきょうだいの世話を担う子ども「ヤングケアラー」の支援に向け、静岡県内の小中高生を対象にした初の実態調査に乗り出す。小5~高3の約25万5千人を対象に、各校で行う生活実態調査などの機会に合わせてアンケートを行う。15日発表した本年度一般会計9月補正予算案に、事業費880万円を計上した。

静岡県庁
静岡県庁
 ヤングケアラーは、病気や障害などでケアが必要な家族の世話や家事を担う18歳未満の子どもを指す。調査は私立を含む県内の全小中高914校を対象に行い、選択式の質問を中心に、世話をしている家族らがいるかや、どんな世話を担っているか、負担感や我慢していることなどを尋ねる。10月以降に回答を集め、県が個人を特定しない形で集計して年度内に公表する予定。
 厚生労働省と文部科学省が20年度に実施した初の全国調査では、「世話をしている家族がいる」と回答した子どもの割合が、中学2年生で5・7%、全日制高校2年生で4・1%だった。定時制高校2年生は8・5%、通信制高校の生徒は11・0%で、全日制高校より高い傾向もみられた。両省のプロジェクトチームは21年5月にまとめた報告書で、地方自治体にも実態調査を促していた。
 国の調査対象は中高生だったが、他県の調査などから小学校段階でケアを担う子どもがいることが想定されるため、範囲を広げて調査を行う。県こども家庭課は「精緻な実態把握とともに、子どもや学校がヤングケアラーについて知る機会にしたい」と話した。
 (政治部・杉崎素子)

飲食店認証、申請1万件超 静岡県内、協力金条件で急増

 新型コロナウイルス感染防止対策を講じた飲食店に県が“お墨付き”を与える「安全・安心認証制度」で、申請件数が1万件を突破したことが15日、静岡県への取材で分かった。静岡県は認証対象は約1万5千件と見込んでいて、6割強が申請したことになる。

静岡県の「安全・安心認証制度」の申請と認証件数の推移(累計)
静岡県の「安全・安心認証制度」の申請と認証件数の推移(累計)
 県によると、14日に累計1万228件となった。認証取得が飲食店の休業や営業時間短縮に伴う協力金の支給条件になっていることが背景にあるとみられる。認証制度が始まった5月が91件、6月は689件と伸び悩んだが、まん延防止等重点措置と緊急事態宣言が適用された8月は5813件の申請があった。
 一方、感染対策実施状況の現地確認に時間を要していることから、認証済みは1028件止まり。県は10月末をめどに9千件程度の認証を終える方針で、要員を増やして対応に当たっている。
 国は認証取得など一定の条件下で、酒類提供や営業時間の延長を認める行動緩和策を打ち出した。県の杉山隆通危機報道官は「宣言解除後の飲食店の対応は今後詰めるが、店舗の感染対策を万全にして安心して利用できる環境づくりを早急に進める」と話した。