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5月8日から「5類」移行 新型コロナ療養どうなる

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日から「5類」に移行するのに伴い、もし感染してしまったら外出はいつから大丈夫なのか、マスク着用はいつまで...など気になります。5類移行後の療養に関する政府方針、医療体制についてまとめます。
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発症後5日は外出自粛推奨 10日間マスク着用 政府方針

 加藤勝信厚生労働相は14日の閣議後の記者会見で、新型コロナウイルスが5類に移行した後、発症翌日から5日間は外出の自粛を推奨すると正式に表明した。5日目に症状が続く場合は、熱が下がるなどしてから24時間程度が経過するまで延長、発症後10日間はマスク着用を呼びかける。

新型コロナ感染者の療養のイメージ
新型コロナ感染者の療養のイメージ
 現在、感染症法に基づき症状があれば原則7日間の自宅療養などを求めている。5類移行後は、療養するかどうかが個人に委ねられるようになるため、政府が判断の基準を示す形。
 永岡桂子文部科学相も14日、感染した児童生徒の出席停止期間を「発症から5日間が経過し、かつ症状軽快後1日を経過するまで」に短縮すると明らかにした。省令改正のため同日から意見公募を実施する。
 国立感染症研究所の分析では、発症後5日間でウイルス量は大幅に減り、7日間でほとんど検出されなくなる。ただ発症後10日間が経過するまではウイルスを排出する可能性があるため、マスク着用や、高齢者ら重症化リスクが高い人との接触を控えるなどの配慮を求める。

5類移行後の療養に関する政府方針のポイント
  ◆発症翌日から5日間は外出の自粛を推奨。
  ◆5日目も症状が続く場合は熱が下がるなどしてから24時間程度経過するまで延長。
  ◆発症後10日間はマスク着用を推奨。
  ◆児童生徒の学校の出席停止期間は、発症から5日間が経過し、かつ症状軽快後1日を経過するまで。
  ◆自宅療養するかどうかは個人の判断に委ねる。

 〈2023.4.14 あなたの静岡新聞〉

感染者数 毎日の全数報告から定点の週1回公表へ

 静岡県新型コロナウイルス対策専門家会議は13日夜のオンライン会合で、5月8日に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行された後のスケジュールや医療体制案を協議し、了承した。

静岡県庁
静岡県庁
 感染者の把握について、毎日の全数報告から、定点医療機関からの報告を基にした週1回の公表に変更する。定点医療機関はインフルエンザ患者を報告しているのと同じ内科、小児科計139カ所。
 コロナを診療する医療機関名を移行時にホームページで公表する。入院調整は原則、医療機関の間で調整し、必要に応じて保健所が支援する。宿泊療養と自宅療養の支援は廃止する。
 入院患者は6月以降、56あるコロナ病床確保病院が中等症2以上に重点的に対応する。中等症1、軽症は全ての病院で受け入れる。
 静岡県独自の評価レベルや「感染拡大注意報」などのアラートは当面、維持する。
 〈2023.4.14 あなたの静岡新聞〉

流行の見通しや医療現場の課題は 後藤幹生・県健康福祉部参事に聞く

 静岡県健康福祉部の後藤幹生参事(58)は新型コロナウイルスの流行初期から感染対策の中心に立ってきた。今後の流行の見通しや行政としての姿勢を聞いた。

4月から感染症対策の陣頭指揮を執る後藤幹生さん=3月中旬、県庁
4月から感染症対策の陣頭指揮を執る後藤幹生さん=3月中旬、県庁
 -法律上の位置付けが5類になった後、感染状況や医療現場はどうなるのか。
 「県民の4割が既に感染し、ワクチン接種者も増えた。双方を経験したハイブリッド免疫は感染や重症化がしにくいとされる。受診する人や医療の負担が減り、望ましい形になるかもしれない。従来のような大きなインフルエンザ流行と同時に拡大すれば再び逼迫(ひっぱく)する」
 「ワクチンを最後に打ってから1年以上たった人は若くても重症化や後遺症を減らすためオミクロン対応型を接種した方がいい。5類移行を境に接種対象はいったん高齢者などに限られるので、それまでに打つよう発信している」
 -補助金撤廃などでコロナを診ない医療機関が増えるとの懸念がある。
 「法律が定める責務(応召義務)として患者対応は断れない。もしそういう事例があれば毅然(きぜん)と対応する。保健所が担っていた入院調整は医療機関同士で行うことになるが、それが本来の地域の診療連携だ」
 -医療の“脱アナログ”が課題。
 「4月に開設する感染症管理センターで、感染症患者受け入れの空き病床が即座に分かるシステムを広める。飲食店の空席情報のような仕組み。医療でできない理由はない」
 「情報共有システムはいずれ医療全体に波及される。今回が試金石。2029年度までの次期保健医療計画でデジタル化を推進する。生産年齢人口が減る30年代も作業は手書き…では大変なことだ」
 -初代感染症管理センター長に就任する。
 「感染症流行の状況や予想を天気予報のように身近な存在にしたい。天気予報は今は15分先の雨雲が分かり、傘が用意できる。感染症も県民に対策をお願いするための予測を提供する」
 「人材養成も重要。高齢者施設だけでなく学校や会社でも正しい対策を指導できる人を育成する。『防疫士』のようなイメージ。企業や施設で集団感染を防げれば、ひいては医療逼迫を抑えられる」
(社会部・河村英之)
〈2023.3.31 あなたの静岡新聞【日常へ 新型コロナ5類移行㊦】〉