あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

熱海富士初優勝ならず 2場所連続敢闘賞 大相撲九州場所

琴ノ若に敗れ、引き揚げる熱海富士=福岡国際センター 大相撲九州場所千秋楽は26日、福岡国際センター(福岡県)で開催され、単独首位の大関霧島を1差で追っていた熱海市出身の熱海富士(前頭8枚目)は、関脇琴ノ若に引き落としで敗れ、初優勝はならなかった。霧島は13勝2敗で4場所ぶり2度目の優勝。秋場所に続き優勝争いを演じた熱海富士は11勝4敗で、2場所連続2度目の敢闘賞を受賞した。九州場所で敢闘賞を受賞した熱海富士=福岡国際センター(代表撮影)

悔しさ糧に、確かな成長証明  負ければ優勝の可能性がなくなる琴ノ若との一戦。熱海富士は立ち合いで頭からぶつかり、一瞬にして引き落とされた。霧島の勝敗を待たずして望みが断たれ、「まただめだった」。土俵を去り際、21歳の表情に悔しさがにじんだ。
 秋場所の活躍を受け、大きな期待を背に臨み、気負うことなく勝ち星を重ねた。低く前へ出る相撲に磨きがかかり、土俵際での粘り強さも安定感につながった。疲れの出る終盤戦でも発揮された柔軟な身のこなしは、日頃の猛稽古のたまもの。先場所は勢いだけではなかったと印象づけた。
 中でも成長を示したのは12日目、豊昇龍との結びの一番。右を差され前に出られたが、土俵際で左へ回り込んで圧をかわし、突き落としを決めた。劣勢を挽回し大関戦初白星。先場所の経験が生き、「体が動いた」と納得の一番だった。
琴ノ若(手前)に引き落としで敗れた熱海富士=福岡国際センター
 新入幕を果たした昨年の九州場所は4勝11敗。1場所で十両に転落した。そんな時、飛龍高の恩師、栗原大介監督(47)に熱海富士から連絡があった。「『どうしたらいいですか』と。関取にアドバイスなんてとも思ったが、必死にもがいているのを感じた」。相撲に向き合う並々ならぬ情熱が電話から伝わり、また強くなると直感したという。
 「ほしい左上手、右差しを意識しすぎず、踏み込んで当たること」。恩師の助言通り、今場所は相手に圧力をかけ続けた。悔しい幕内デビューから1年。千秋楽までもつれる優勝争いを2場所連続で演じるまでに成長した。だが、「今のままでは上位に勝てない。優勝するのは本当にすごいこと」。この悔しさを必ず来場所への糧にする。
(運動部・吉沢光隆)

 九州場所総評 快進撃の21歳 地力高まる 成長大関 力強さと安定感
 霧島が13勝2敗で2度目の優勝を遂げ大関として初の賜杯を抱いた。186センチ、145キロで筋肉質の体は一回り大きくなった印象で取り口に安定感と力強さが増してきた。来年の初場所は初めて横綱昇進に挑む。
 2敗で首位に並んだ14日目の熱海富士戦は見事だった。素早い左巻き替えからもろ差しで攻め、左に回り込む相手に反撃の隙を与えずに寄り切った。初の年間最多勝も獲得。稽古熱心な姿勢を崩さなければ、最高位への道は開けてくる。
 21歳の熱海富士は初優勝を逃したが、先場所に続いて千秋楽まで優勝を争った。右四つの正攻法に加え、土俵際での粘り強さもある。地力は高まる一方で、来年の飛躍が注目される。
 他の2大関は存在感が薄かった。先場所覇者の貴景勝は前半戦で3敗。本来の馬力がなく、綱とりの機運は上がらなかった。昇進2場所目の豊昇龍は何とか2桁勝利に乗せた。
 3関脇は琴ノ若が11勝を挙げ来場所は大関昇進を懸ける。ただ優勝争いの首位で迎えた12日目から2連敗。重圧に打ち勝つ精神面が課題となる。大栄翔は取り口にむらがあり9勝止まり。三役で初めて負け越した若元春は出直しだ。
 幕内下位で11勝の一山本は激しい突き、押しで初の敢闘賞を受賞。入幕3場所目の豪ノ山は押し相撲で2大関を倒す活躍だった。
大相撲九州場所千秋楽星取表 幕内・決まり手なし

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ