あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

静岡人インタビュー「この人」 修繕費用の寄付を募る「海瀬家住宅主屋」の21代当主 海瀬陽奈さん(沼津市)

 現存する沼津市内最古の住宅建築として、8月に国の有形文化財に登録された住宅の大規模修繕に向けたクラウドファンディングを、10月20日まで実施している。ミカン農家「海瀬農園」の当主でもある。25歳。

海瀬陽奈さん
海瀬陽奈さん

 -どのような住宅か。
 「江戸末期からある木造平屋建てで、幕府の山林奉行の休憩所にも使われた。海瀬家は河内地区の御崎神社の総代を務め、夏の天王祭では、奥座敷が獅子舞神楽を奉納する舞台にもなっている。住宅を調査した西沢正浩さんは『質素で機能や構造を魅せる住宅』と話していた」
 -当主を継いだ経緯は。
 「2021年、19代当主の祖父が体調を崩したのを機に継いだ。2・5ヘクタールの農地でミカンやレモンなど12品種を育てている。幼い頃から手伝っていたがいざ継ぐと大変。地区の高齢化も進んでいる。西浦地区でミカン農家を継いだ20代は少ない。若い世代の関心を高めたい」
 -文化財登録後の変化は。
 「今夏、初めて一般公開した。歴史的価値のある家の維持を諦めた経験がある見学者から、応援の声をもらった。また、親戚の子を招いて流しそうめんやスイカ割りを開催すると、こちらも好評だった。私たちが子どものころに経験した川遊びや昼寝など、田舎体験ができる場としての活用も考えている」
 -クラウドファンディングへの意気込みは。
 「主屋は生まれてからずっと過ごしている生活の場。私の代で家がなくなるというイメージが湧かなかった。維持には伝統工法で屋根を修理する必要があるが、少なくとも1600万円以上かかり、私たちの力だけでは限界がある。文化財として維持、活用していくために、皆様のご支援をお願いしたい」
 (東部総局・菊地真生)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ