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「生活」野菜を再生、手軽に節約 へたや切れ端を育てて収穫

 相次ぐ食品の値上げを受け、料理に使った野菜の切れ端などを育てて収穫する「再生栽培」が手軽な節約術として注目されている。捨ててしまいがちな根や種を活用できるのが最大の魅力。再生栽培に関する著書「おうち野菜づくり」がある農業コンサルタント宮崎大輔さんに、こつと注意点を聞いた。

豆苗の再生栽培。豆の少し上でカットして根を水に浸すと、わき芽が伸びて収穫できる
豆苗の再生栽培。豆の少し上でカットして根を水に浸すと、わき芽が伸びて収穫できる
記者が挑戦した長ネギの再生栽培15日目。青々とした葉が約15センチ伸び、収穫時を迎えた
記者が挑戦した長ネギの再生栽培15日目。青々とした葉が約15センチ伸び、収穫時を迎えた
再生栽培で収穫した長ネギを使ったカレーうどんとニンジンの葉を加えたかき揚げ(右手前)。料理の彩りとしても活躍
再生栽培で収穫した長ネギを使ったカレーうどんとニンジンの葉を加えたかき揚げ(右手前)。料理の彩りとしても活躍
豆苗の再生栽培。豆の少し上でカットして根を水に浸すと、わき芽が伸びて収穫できる
記者が挑戦した長ネギの再生栽培15日目。青々とした葉が約15センチ伸び、収穫時を迎えた
再生栽培で収穫した長ネギを使ったカレーうどんとニンジンの葉を加えたかき揚げ(右手前)。料理の彩りとしても活躍

 「初心者は豆苗(とうみょう)やネギ、ミツバなどの根が付いた状態で売られている葉物野菜の水耕栽培から始めるのがおすすめ」と宮崎さん。豆苗は豆の少し上、ネギやミツバは根元を2センチほど残して切り落とし、皿やコップに水を張って根を浸す。
 ニンジンやダイコンも切り落としたへたの部分を水に浸しておけば、伸びてきた葉を収穫できる。土での栽培に比べて収穫量は限られるが「室内で育てられるので、薬味や彩りに少量欲しいときに便利です」。
 ポイントは水をこまめに替えること。「雑菌が繁殖すると枯れてしまう」。1日1回は古い水を捨て、容器に付いたぬめりを洗い流してから新しい水を注ぐと、菌の増殖を抑えられるという。
 ネギやミツバは水耕だと1カ月ほどで新しい芽が出なくなってくるが、土に植えれば数カ月収穫を続けられることも。ピーマンを食べる際に取り除いた種を土にまいたり、芽が出てしまったジャガイモをそのまま植えたりして育てることもできる。
 ただ、園芸用に市販されている苗や種でないため、うまく育たない場合も多いという。「失敗して当然、育てばラッキーくらいの気持ちで取り組んでください」
 逆に大成功してたくさん収穫できたときは「家庭内で食べきるように」と注意を促す。2021年に施行された改正種苗法で、品種登録された農産物の種などを次の栽培に生かす「自家増殖」をする場合は開発者の許諾が必要になった。
 家庭菜園の範囲なら問題ないとされるが「収穫したものを他人に売ったり配ったりすると、その範囲を超えたと見なされる恐れがある」という。
 アドバイスを踏まえ、長ネギとミツバ、ニンジンの水耕栽培に挑戦した。長ネギとミツバはコップ、ニンジンはトレーに水を張って浸し、日当たりの良い窓辺に置いて葉が出てくるのを待つ。
 2日ほどで長ネギの中心から青々とした葉が伸び、2週間もたつと長いものは約15センチに成長。ニンジンもレースのような葉を広げた。一方、ミツバは小さな葉が数枚出たが、寒さのせいか5日ほどで枯れてしまった。
 自分で育てた食材があると、献立を考えるのも楽しい。長ネギはカレーうどんの彩りに、ニンジンの葉は根と共にかき揚げにして味わった。

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