Ｊ３アスルクラロ沼津の監督に 中山雅史さんの歩み、功績は
サッカー元日本代表、ゴンさんこと中山雅史さんが、サッカーＪリーグ３部（Ｊ３）アスルクラロ沼津の新監督に就任することになりました。クラブＯＢで、在籍中の２０２０年にＪリーグの監督に就ける公認Ｓ級コーチのライセンスを得ていました。近年の歩みと日本代表現役時代の功績の一端を１ページにまとめました。
ゴンさんならやってくれる サポーターから期待の声
サッカーＪリーグ３部（Ｊ３）アスルクラロ沼津は１４日までに、来季新監督に、クラブＯＢで今季Ｊ１ジュビロ磐田のコーチを務めた中山雅史氏（５５）が就任すると発表した。
今季の沼津はシーズン開幕から勢いに乗れず低迷。８月、成績不振を理由に今井雅隆氏が監督を解任され、強化部長だった望月一仁氏が後任を務めていた。沼津は１４日現在、８勝７分け１８敗の１５位。
沸き立つ沼津 サポーター「東部盛り上げて」
サッカーＪリーグ３部（Ｊ３）アスルクラロ沼津の来季監督に、クラブＯＢの中山雅史氏（５５）の就任が発表され、沼津のサポーターからは１４日、低迷するチーム再建や県東部を盛り上げてほしいと期待の声が聞かれた。
今季の沼津は波に乗りきれず低迷し、１４日現在、８勝７分け１８敗の１５位。年間成績も２０１８年の４位を最後に、２桁台に沈んでいる。会社員の村松和幸さん（５０）＝沼津市＝は「この２年間くらい閉鎖的な空気を感じていた。選手がのびのびプレーできる環境をつくってほしい。ゴンさんならやってくれる」と力を込める。
主婦の渡辺結香里さん（３９）＝同市＝は、本拠地の設備不足で昇格が不可能であることなどで、選手のモチベーション維持に不安を感じていたという。「Ｊ１、Ｊ２から注目してもらうようなクラブになって成長につながれば。（注目度が高く）足が遠のいてしまったファンやスポンサーを考えても、良いニュース」と喜んだ。
サポーター団体「沼津ダラーズ」の永倉俊一さん（４３）＝同市＝は「監督としては未知数だが、選手時代の戦う姿勢や熱い気持ちを出してもらいたい。県東部を盛り上げてもらう存在になれば。選手として努力する姿を見てきた分、心強い」と声を弾ませた。
〈2022.11.15 あなたの静岡新聞〉
クラブＯＢ 一度は「引退」も４７歳で現役復帰
サッカー日本代表のエースストライカーとして活躍し、ジュビロ磐田（現Ｊ２）の黄金期を築いた中山雅史氏（４７）が１４日までに、日本フットボールリーグ（ＪＦＬ）アスルクラロ沼津に入団した。沼津は同日までに中山氏のＪＦＬへの選手登録を終えたとみられる。
中山氏は２０１２年、当時Ｊ１だったコンサドーレ札幌（Ｊ２）に所属し、シーズン終了後、けがの影響を受けて現役続行は困難だと判断し、第一線を退いていた。
今月５日、磐田時代の元監督の山本昌邦氏（５７）が会長を務める沼津の練習に初参加。札幌時代以来、約２年９カ月ぶりに本格的な実戦形式の練習に臨み、「今後もやれることをやり尽くしたい」などと、現役続行への強い意志を語っていた。
２０２１、２０２２シーズンは古巣磐田でコーチ
藤枝東高、筑波大を経て１９９０年、磐田の前身のヤマハ発動機入り。９８、２０００年にＪ１得点王に輝くなど磐田の黄金期を支えた。９８年に４試合連続ハットトリックを達成するなど、Ｊ１通算１５７得点。Ｊ３アスルクラロ沼津を退団してのコーチ就任で、磐田での選手登録はない。
９８年ワールドカップ（Ｗ杯）フランス大会のジャマイカ戦で日本代表のＷ杯初得点を挙げたストライカーは「ジュビロ磐田にコーチとして帰ることになりました。Ｊ１昇格に向けて、鈴木（政一）監督を全力でサポートしていきます」とコメントした。
〈2021.1.14 静岡新聞朝刊〉
初日からゴン効果 「雰囲気明るく」「言葉に重み」
ヤマハ大久保グラウンドで１８日に始動したＪ２磐田は、いきなり２時間半と長めの練習を敢行した。体幹やフィジカルトレーニングの後、ボールを使ってのパス練習などで汗を流した。今季から就任したＯＢで元日本代表ＦＷの中山雅史コーチは積極的に選手と会話し、コミュニケーションを図った。
今季の全体練習を開始した磐田はヘッド格に昇格した服部コーチが主に練習の指揮を執り、新任の中山コーチは初日から、選手に気づいたことをアドバイスし、ここ数年低迷が続くチームを盛り上げた。今季も主将を務めるＤＦ大井は「中山さんや服部さん、（強化部長の鈴木）秀さんの下でやれるのは幸せだし、身の引き締まる思い」と話した。
中山コーチの藤枝東高の後輩で、磐田で一緒にプレーした経験もある大井。「積極的に声を掛けてくれるし、雰囲気を明るくしてくれる。得点を奪うということについて教えてくれたらと思っている」。練習前には大井が「（中山コーチが）ユーチューバーになったのに、まだガラケー（従来型の携帯電話）を使っているんですか」と言って周囲の笑いを誘った。練習後のオンラインでの取材中は中山コーチが乱入し、「誰と話しているの？ 記者さんたちか。早く言えよ」ととぼけた。
藤枝東高出身のＭＦ山田は「小さい頃に観戦したとき、中山さんが途中から出た試合で、すごい歓声がヤマハスタジアムの雰囲気を一変させたことをはっきり覚えている」。ドイツでプレーしていたときに中山コーチと話す機会があり「つらいときだったが、勇気づけられたし、気持ちが楽になった。中山さんのキャリアや生き様が言葉に重みをもたらしている」と振り返った。山田は今季、ゴール数にこだわる。「１０得点」を目標に掲げ、Ｊ１通算１５７得点を奪った中山コーチの下で飛躍を目指す。
〈2021.1.19 静岡新聞朝刊〉
サッカーＷ杯 日本代表の史上初ゴールを決めた男 ゴンさん
一九九八年は輝き続けた一年だった。
まず、Ｊリーグ第１ステージの６節から９節にかけ、４試合連続のハットトリックをやってのけて度肝を抜いた。世界に例がない驚異的な記録として注目を集め、ギネスブックが世界記録に認定した。この４試合連続ハットトリックを皮切りに、ゴールを量産。Ｊリーグ新の３６点をたたき出して得点王に輝き、文句なく最優秀選手にも輝いた。
世界の舞台でも”ゴン中山”の存在をしっかりと印象づけた。Ｗ杯フランス大会。悲願の初出場を果たした日本だが、世界の壁は厚く３連敗を喫した。だが、そんな中で唯一の得点をマークし、わが国のＷ杯史上初ゴールを記した。
藤枝東高―筑波大から、ジュビロ磐田の前身であるヤマハ発動機へ入社。ひたむきにゴールを狙うプレースタイルに磨きをかけて、日本代表の背番号９を背負うまでの存在に。３１歳。しかし、「まだまだ未熟。プレーの精度を高めないと」とあくなき向上心をみせている。１７８センチ、７４キロ。浜松市在住。
（表記は当時のまま）
