「晴れ舞台で 打っている姿を見せたい」 アーチェリー/アジア大会混合優勝 杉本智美 代表切符に照準、25歳重圧に勝つ

(2020/1/6 11:30)
東京五輪代表の座を狙う杉本智美選手=2019年12月、奈良県内

 照準を定めるのは70メートル先に立つ的の中心円、直径はCDほどの「10点」だ。寸分のずれが勝敗を分けるアーチェリーで、女子日本代表の杉本智美選手(25)=ミキハウス、浜松商高出=は手元を狂わせる内なる敵と向き合う。昨年11月、1位通過を狙った東京五輪代表の1次選考で2位。「五輪選考という緊張にやられた。気負いすぎたのかな」。選出が有力視される日本のエースにも重圧は襲い掛かっている。
 中学時代はソフトボールに打ち込んだ。高校で洋弓と出合い、全国大会で優勝を重ねて近畿大3年時に初の日本代表入り。とんとん拍子にトップ選手への階段を上ってきた。
 兄の明成さん(30)は、当時大学生だった妹が正月に帰省した時の光景が忘れられない。高校時代の弓を持たせようと勧めた親戚に対し、杉本選手はフォームが崩れることを理由に拒否した。「すごい感覚でやってるんだな」。昨年10月には初めて試合を観戦。「妹としての智美じゃなくて、東京五輪を懸けている智美だった」。明成さんは、3きょうだいの中では5歳下の杉本選手より年の近い兄の智和さん(33)と遊ぶことの方が多かった。知らぬ間にアーチェリーを始め、日本を代表する選手になっている妹に驚き、誇らしく感じている。
 だが、本人の表情はさえない。明成さんが見守った全日本選手権は準々決勝で敗れ、続く五輪1次選考は不本意な2位通過。何よりショックだったのは、入社前から慕ってきた川中香緒里選手(28)、加藤綾乃選手(26)の同僚2人の落選だった。「これまで先輩の後ろについていく感じだった。それが…」。ミキハウスの3人で東京五輪の団体戦を戦う夢が消えた。
 下を向くわけにはいかなかった。1次選考以降、1日に矢を射る本数を100本増やした。競技人生で一番と自負する練習量で3月の2次選考に備える。
 プレッシャーに打ち勝つすべは今でも分からない。でも「普通にやれば大丈夫」という確かな自信もある。「応援してくださる方に晴れ舞台で打っている姿を見せたい」。目に見えない強敵をねじ伏せた時、目指してきた場所はぐっと近づく。

 すぎもと・ともみ 1994年11月9日、浜松市中区出身。浜松商高でアーチェリーを始め、個人で全国選抜大会優勝、団体で全国総体と国体を制した。近畿大から2017年にミキハウス入社。18年のジャカルタ・アジア大会で混合優勝、女子団体3位。19年世界選手権は個人と混合で8強。

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