経済部 薮崎拓也
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防音室に船舶技術を応用 赤阪鉄工所参入 主力以外で収益力向上
赤阪鉄工所は研究施設などで利用できる業務用防音室を製造・販売する事業に参入した。静音性が求められる船室の開発で培った技術を応用する。主力事業以外の分野で収益力を高め、持続的成長を目指す。 業務用防音室は船舶用床材や、内部にグラスウールを詰めたスチール壁面などで構成。走行中の地下鉄車内に相当する約100デシベルの騒音を、静かなオフィス環境と同等の65デシベル程度に抑える。県が2018年に建造した沿岸・沖合漁業指導調査船「駿河丸」で、船室内の居住環境を向上する防音設備を手がけた際に培った技術を生かしている。 狭い空間でも簡単に組み立てや解体が可能。0・5畳(約0・9平方メートル)から3・2畳
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リチウムイオン電池 再生事業強化 エンビプロ・HD茨城に新工場
エンビプロ・ホールディングス(HD)は廃リチウムイオン電池(LIB)の再生事業強化に乗り出す。茨城県ひたちなか市で用地と建屋を取得し、2024年4月に連結子会社VOLTA(ボルタ、富士市)の新工場として稼働する。関東圏を中心に廃LIBの回収を進め、処理能力を現在の3倍に引き上げる。 新工場は敷地面積約1万5300平方メートル、延べ床面積は約8600平方メートル。廃LIBを乾燥や破砕するなどして、リチウム、コバルト、ニッケルのレアメタル(希少金属)を濃縮したブラックマスを製造する。廃LIB処理能力は年間5千トンを見込み、富士宮市の既存工場と合わせて同約7500トンに高める。 同HDは、ブラ
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静岡人インタビュー「この人」 日本顧問介護士協会理事長 石間洋美さん
高齢化社会が進む中、仕事を続けながら家族を介護する人を支援しようと、2020年4月に協会を設立した。現在は県内を中心に全国約40社と顧問契約を結び、介護離職を防ぐための企業体制づくりや従業員への啓発活動などを展開する。40歳。 ―設立のきっかけは。 「介護現場に20年近く携わり、家族が突然、要介護者になって困惑する人を数多く見てきた。特に親の介護の場合、子供はどう対処していいか分からないのが本音だろう。いざという時に備え、かかりつけ医のように日頃から相談できる機関が介護分野でも必要と考えた」 ―顧問介護士の活動とは。 「契約を結んだ企業に働きかけ、従業員が仕事と介護を両立できる体制構
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大河ドラマ限定ツナ缶 はごろもフーズ 静岡浅間神社で発売
はごろもフーズはこのほど、徳川家康を主人公に放送中の大河ドラマにちなんで静岡市葵区の静岡浅間神社境内に開設された物品販売所で、高級ツナ缶の限定パッケージ=写真=を発売した。 キハダマグロとビンナガマグロのトロを、それぞれオリーブ油漬けにしたツナ缶(各75グラム入り)のセット。黄色とオレンジ色を基調とした紙箱の中央上部に、市内の官民組織が作成した「家康公が愛したまち 静岡」のロゴマークを配した。 全国トップのツナ缶生産量を誇る同市を、県内外から訪れる大河ドラマファンにアピールする企画。物品販売所の設置期間である2024年1月まで、1セット1512円(税込み)で取り扱う。
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静岡県、富士に射出成形機 CNF製品 開発支援へ
静岡県はこのほど、植物由来の新素材セルロースナノファイバー(CNF)を用いた製品開発支援の一環で、県富士工業技術支援センターに射出成形機1台を整備した。CNF混合樹脂の強度や射出成形に適した温度などを確かめる実験用機材として企業に貸し出す。用途開発を促進し、将来的には自動車部材などへの活用を目指す。 射出成形機は長さ4・6メートル、幅1・3メートル、高さ1・7メートル。シリンダーに原料を投入して熱で溶かし、金型に流し込んで成形する。CNFは加熱しすぎると特性が失われやすいため、0~400度まで微妙な温度調節が可能。試作用に「ダンベル型」や「短冊型」など三つの金型を用意し、CNFと樹脂の配合
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非常食に自社製品活用を はごろもフーズが社員向け料理研修会
はごろもフーズは10日、東日本大震災から12年になるのに合わせ、自社製品を活用した非常食メニューを学ぶ社内研修会を静岡市清水区で開いた。社員の防災意識高揚を図りつつ、長期保存が可能な缶詰やパスタの利点を営業活動に生かす狙いもある。 管理栄養士で防災食アドバイザーの今泉マユ子さんを講師に招き、国内外の営業拠点にオンライン配信した。社員らは食材をポリ袋に入れて湯煎する方法を用い、ミートソース缶とパック米飯でつくるミートソースライスやツナ入りスパゲティなど4品の調理を実習した。 同社は約4年前から、缶詰やパウチ製品の備蓄を啓発する活動に注力している。昨年9月の台風15号では浸水や断水の被害に遭
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イノベーション拠点「SHIP」開業 静岡県 ICT人材育成/企業デジタル化支援
情報通信技術(ICT)に精通した人材の育成や、企業のデジタル化に向けた支援などを行う静岡県のイノベーション拠点「SHIP」が9日、静岡市葵区に開業した。業種や世代の垣根を越えた交流を促し、新事業の創出や中小企業の経営課題解決を目指す。 同区呉服町のビル2階にあり、床面積は約200平方メートル。最新のデジタル技術に関する講座を展開するエリアや料理を楽しみながら異業種間で交流できる空間などを設けた。県が委託したICT専門家らが常駐し、起業や販路拡大、ビジネスマッチングといった支援も幅広く展開する。 初日は近隣のIT企業関係者などが訪れ、スタッフが施設内を案内した。同区のコンサルティング業成瀬
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先見えぬ飼料高 県内畜産農家「限界」 ウクライナ侵攻1年
ロシアによるウクライナ侵攻は24日で1年。欧州の穀倉地帯が戦場になったことで、新型コロナウイルス禍などで上昇した飼料価格は一段と高騰し、県内畜産農家に深刻な打撃を与えている。富士宮市で土井ファームを営む土井一彦さん(63)は少しでも状況を改善するため、えさの輸入牧草の一部を地元稲作農家から回収した稲わらに切り替えた。だが、努力も限界に近づきつつある。 牛舎に隣接した倉庫に、ロール状に巻き取った稲わらが積み上げられていた。「赤字経営が抜き差しならない所まで来ている。稲わらの活用は苦肉の策だよ」。土井さんは険しい表情を浮かべた。 米国やカナダ、オーストラリアなどから輸入している乾牧草や配合飼
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記者コラム「清流」 安心して消費できる社会を
かつて江戸っ子は、宵越しの銭を持たないのが粋だったという。仕事を終えて日当を受け取ったら銭湯へ繰り出し、屋台で1杯引っかけて財布の中身はすっからかん―。現代人には考えられないような金銭感覚だったようだ。 どうしてこんな生活ができたのか考えてみる。きっと、濃密な近所付き合いがセーフティーネット代わりになっていたから、お金がなくても不安を抱えずに済んだのだろう。プライバシーがない半面、無一文の時は長屋の隣人に助けを求めれば、何とか食いつなぐことができたのだ。 労使交渉が本格化した今年の春闘では、賃上げの動向が注目される。だが、賃金が上がったとしても、消費に回らなければ意味がない。財布のひもを
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アイ・テック新工場 岩手・北上に建設へ 24年10月開業
鋼材商社のアイ・テック(静岡市清水区)は北東北地区での鉄鋼の供給強化に向け、岩手県南西部の北上市に新工場を建設する。同市とこのほど企業立地協定を結び、2024年10月に開業する予定。製造業の進出が相次ぎ鋼材需要が高まる北東北で、販路拡大や納期短縮を目指す。 同市内の工業団地に約9・3ヘクタールを取得し、鉄骨造りの事務所併設型の工場を新設する。H形鋼やコラムなどを切断・加工する設備を備え、多様な要望に迅速対応できる態勢を整える。新規雇用を含めて約40人が勤務する。総事業費に80億円余を見込む。 沿岸部の三陸方面と隣の秋田県の間に立地し、交通利便性に優れるため、周囲には大手半導体メーカーなど