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静岡県に緊急事態宣言適用へ

 静岡県は新型コロナウイルスの拡大に歯止めがかからないとして緊急事態宣言の適用を国に要請、政府は20日から、静岡県を宣言の対象地域とする方針を固めました。関連する情報をまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

知事「最大級の危機」 感染者、まん延防止適用後も連日過去最多更新

 静岡県の川勝平太知事は16日、県庁で臨時記者会見を開き、新型コロナウイルスの急拡大を受け国に同日午前、緊急事態宣言の適用を要請したことを明らかにした。併せて、県東部全域や静岡、浜松両政令市など25市町に適用しているまん延防止等重点措置の対象区域を、川根本町以外の34市町に拡大することも表明した。新たに追加される市町は18日から適用される。

静岡県庁
静岡県庁
 川勝知事は「医療提供体制は危機的な状況。間違いなく経験したことがない最大級の危機に直面している」と述べた。
 県によると、重点措置の適用後も感染者が連日過去最多を更新するなど、爆発的な感染拡大に歯止めがかからない状況を踏まえた。要請が認められるかや、認められても適用時期は不透明なことから、県の判断で可能な重点措置区域の追加を行うことにした。
 県は13日、緊急事態宣言の要請について、国と事務レベルでの協議を始めた。宣言の要請については、県の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が県に提言する方針を取りまとめたが、国が本県への重点措置の適用を決め、県が要請を見送った経緯がある。
 重点措置は8日から県東部全域と両政令市に適用され15日から藤枝、焼津、磐田3市が追加適用されている。
 〈2021.8.16 あなたの静岡新聞〉

知事緊急会見要旨 「セルフロックダウン」徹底呼び掛け 地域医療機関には自宅療養者診療への協力要請

 静岡県の川勝平太知事は16日午後0時45分ごろから緊急会見を行い、新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府に緊急事態宣言の発令を要請したと明らかにした。会見での発言要旨は次の通り。

川勝平太知事
川勝平太知事

・政府に緊急事態宣言の適用を要請した
・まん延防止等重点措置の適用区域を川根本町以外の34市町に拡大する
・県内の医療提供体制は危機的な状況にある
・コロナ患者を受け入れていない医療機関は1床でもいいので受け入れを
・地域の医療機関は自宅療養者、入院待機者をを支えるために協力を
・新規感染の84%が感染力が強いデルタ株
・酸素ステーション設置や抗体カクテル療法の導入を検討する
・県民は「セルフロックダウン」(外出自粛)の徹底を
 〈2021.8.16 あなたの静岡新聞〉

自宅療養者、初の千人超え 「救える命」救えなくなる危機 県、診療体制の構築急ぐ

 新型コロナウイルスの流行「第5波」で急増する自宅療養患者の支援について、静岡県は医師会などと連携した診療体制の構築に着手した。看護師の電話による経過観察で急変リスクがあると確認された感染者を地域の診療所の医師が診察し、迅速に治療に切り替えられる仕組みを取り入れる。全国で自宅療養中に死亡するケースが相次ぐ中、きめ細かな対応で「救える命」が救えなくなる事態を防ぐ。

7月下旬以降の静岡県内新型コロナ自宅療養者の推移
7月下旬以降の静岡県内新型コロナ自宅療養者の推移
 県によると、県内の自宅療養者は12日時点で初めて千人を超え、1066人に上った。「第5波」初期だった7月下旬の100人台から激増状態にある。自宅療養者は主に基礎疾患のない若年層で、ほとんどが軽症や無症状のまま回復する。ただ、感染力が強いインド由来のデルタ株は高熱が長く続く例も確認され、より適切な対応が求められる。
 自宅療養支援は現在、県の委託を受けた県看護協会が毎日電話で健康状態を聞き取っている。血中酸素濃度が低下するなどして体調に異変の兆候がみられた場合は保健所が病院外来を受診するよう促している。
 しかし病床が急激に逼迫(ひっぱく)する現状では自宅療養者の外来に対応し続けると病院の負担が増大するため、地域の医師に協力を仰ぐことにした。
 新たな体制は現行の健康観察をベースにしつつ、急変、または悪化リスクがあると判断された人を診療所の医師が引き継ぐ。外来、電話、オンライン、往診のいずれかで診察や薬の処方をし、中等症の早期段階で病院治療につなげる。医療の目が行き届くことの不安軽減も狙い。県によると、13日時点で県内の医師85人が協力する意向を示している。
 県健康福祉部の後藤幹生参事は「新型コロナは指定感染症のため普通の呼吸器感染症と違う枠組みで自宅療養者に対応しなければならない。新たな診療体制は本来の日常診療に近いスキームになる」と効果に期待する。
 <メモ>県は新型コロナウイルスの「第5波」に対する医療体制の拡充に取り組み、自宅療養支援のほか、入院対応と宿泊療養施設のそれぞれを強化する。入院対応はさらなる病床確保を図り、病床回転率も高める。宿泊療養施設は未設置の医療圏への開設を検討している。
 〈2021.8.14 あなたの静岡新聞〉

緊急事態宣言Q&A 宣言は「休業」要請可能、罰則も厳しく 「宣言慣れ」効果疑問視も

 Q 緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用に基準はあるのか。

新規感染の中心となっているインド由来の新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
新規感染の中心となっているインド由来の新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
 A 緊急事態宣言は、感染状況が最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)、まん延防止措置はステージ3(感染急増)が目安とされています。ただ機械的に発令・適用されるわけではなく、首相が専門家の意見を踏まえて最終判断します。静岡県は、ステージ4の主な基準のうち、病床使用率50%(静岡61・9%)と、直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数25人(静岡57・0人)のいずれも上回っています。
 Q 緊急事態宣言とまん延防止措置は何が違うのか。
 A まん延防止措置で要請できるのは営業時間の短縮にとどまり、対象業種も飲食店などに絞ることが想定されています。宣言では、休業要請も可能となり、幅広い施設が政令で対象となっています。ただ、まん延防止措置でも業種を広げることはできます。
 Q 罰則も厳しくなるのか。
 A 知事は時短営業や休業の要請を拒んだ飲食店などに命令を出すことができ、これに応じない事業者は行政罰を科されます。まん延防止措置は20万円以下の過料、宣言は30万円以下の過料と厳しくなります。
 Q 全国の状況は。
 A 緊急事態宣言は沖縄、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪の6都府県に適用されています。政府は、まん延防止措置の適用地域のうち、静岡、京都、兵庫、福岡、茨城、栃木、群馬の7府県に緊急事態宣言を追加で発出する方針を固めました。期間は8月20日から来月12日までです。すでに宣言が発出されている6都府県も同様に延長する方針です。
 Q 宣言が出れば感染抑止につながるのか。
 A 昨年4月に初めて宣言が発令された時は映画館やデパートといった幅広い業種が休業したほか、イベントの中止も相次ぎ、人出が大幅に減りました。ただ、期間が長期にわたったことによる「宣言慣れ」が生じ、効果は弱まっていると指摘されています。
  政府は「基本的対処方針」を定め、必要に応じて知事に指示することもできますが、どういう対策を講じるのかは基本的に知事の権限です。経済活動への影響も大きく、どこまで強力な措置を取るのか、難しい判断を迫られます。