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浜名湖花博 楽しみ!「2024」 どんなだった?「2004」

 2004年、544万人が来場し、大盛況に終わった国際園芸博「浜名湖花博」。あれから20年。記念事業として「浜名湖花博2024」が来春に予定されています。このほど概要が公表され、「デジタルアトラクション」など楽しみな内容が並びました。大勢の静岡県民が初めての花の祭典を楽しんだ2004年。テクノロジーと花が融合する2024年。「2004」を振り返りながら、「2024」の開幕を待ちたいと思います。

「2024」は新感覚デジタル体験も 花の名画が動くミュージアム

 浜名湖花博20周年記念事業実行委員会は24日、2024年春に浜松市西区の浜名湖ガーデンパークと、はままつフラワーパークで開かれる「浜名湖花博2024」の概要を公表した。花の絵画を新感覚で体験できる「没入型デジタル体感アート」や、会場内移動での自動運転車両活用など、複数の「デジタルアトラクション」を導入する。9月1日から前売り券の販売を開始し、新たに制作したポスターでPRする。

浜名湖花博2024をPRする新作ポスター=24日午後、県庁
浜名湖花博2024をPRする新作ポスター=24日午後、県庁
 ガーデンパーク会場は開催期間が4月6日~6月2日。体験学習館に整備予定の没入体験型ミュージアムは県内初登場で、花の名画などが動き出す映像世界が楽しめる。入場料とは別に入館料が必要。広い会場内の移動を助けるため、スズキが自動運転自動車、自動運転電動車椅子を運行する。著名な造園家石原和幸氏をはじめ、知名度の高いガーデンデザイナーによる庭園も整備される。
 フラワーパークは3月23日~6月16日。VRゴーグルを使って360度映像が体感できる特設シアター「花みどり映像館」や、夜間に噴水に映像を映し出す演出などが展開される。
 湖西市の浜名港と海湖館の特設駐車場2カ所と、花博会場を結ぶ舟運ルートを設定。世界的造園家だった中根金作氏が手がけた同市内にある複数の庭園をめぐる周遊ツアーも企画する。
 チケットは電子チケットと紙チケットを併用する。前売り券は当日券の2~3割引きになる。
〈2023.08.25 あなたの静岡新聞〉

「2004」は4月8日開幕 開門前に3500人が列

 国内外から集った草花と樹木が大パノラマを演出する浜名湖花博・パシフィックフローラ2004(静岡国際園芸博覧会協会主催)が八日午前、浜松市村櫛町の浜名湖ガーデンパークで開幕した。21世紀に国内で開かれる最初の国際園芸博。「花・緑・水~新たな暮らしの創造」をテーマに10月11日まで187日間、花や緑がある潤いに満ちた暮らしを浜名湖畔(はん)から世界へと発信する。期間中、500万人の入場を見込んでいる。

いよいよオープン。開幕と同時に詰め掛けた来場者はそれぞれの施設を見て回った=8日午前9時50分、浜松市村櫛町の花博会場(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
いよいよオープン。開幕と同時に詰め掛けた来場者はそれぞれの施設を見て回った=8日午前9時50分、浜松市村櫛町の花博会場(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 メーン入場口の「ときめきゲート」と浜名湖の浮きさん橋から直結する「しおさいゲート」で開場式典が行われ、石川嘉延知事、協会の鈴木修会長(スズキ会長)、国際園芸家協会(AIPH)のドゥーク・ファーバー会長らがテープカット。航空自衛隊第一航空団(浜松基地所属)のT4練習機六機編隊も慶祝飛行で彩りを添えた。
 開門前から3500人が列を作った。午前9時半にゲートが開くと、この日を待ちわびた人々が一斉に場内に足を進め、色とりどりの草花やパビリオンの展示に見入った。
 「水辺の劇場」では花博のテーマソングを歌うサーカスのコンサートが開かれ、「のたねステージ」や「ふれあいの庭」でも県民や来場者が参加できるイベントが始まった。
 浜名湖花博は1990年の大阪、2000年の兵庫淡路島に続き国内3回目の国際園芸博。両開催地を大きく上回る6000品種、500万株の草花と8万本の樹木が最大の特徴。
〈2004.04.08 静岡新聞夕刊〉
初日は人の波 花との出合い 心躍る来場者    “開花”の時を迎えた浜名湖花博初日の8日、会場内はお目当てのパビリオンを目指す人波が続いた。見たことのない美しい花の色と香りに酔いしれる人。水辺の芝生に座り、時を忘れて景色を楽しむ親子連れなど、癒やしの空間に遊ぶ姿があちこちに広がった。中でもモネの「花の美術館」「昭和天皇自然館」、高さ50メートルの展望塔は人気の的。浜名湖畔は国内外の人たちを迎え、かつてない彩りに包まれた。
 
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花に囲まれ、ぬくもりのある木のベンチでひと休み
 
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ガーベラのフラワーアレンジメント体験も大人気
 
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竹のオブジェのトンネルを抜け、お花畑で色とりどりの花にカメラを向ける
 
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開場とともに多くの来場者が訪れた。混雑するゲート付近

〈2004.04.09 静岡新聞朝刊〉

「2004」187日間盛況 544万人来場で閉幕

 浜松市村櫛町を舞台に4月8日から187日間にわたり開催してきた浜名湖花博(しずおか国際園芸博覧会/第21回全国都市緑化フェア)が11日、閉幕した。35の国と地域が参加し、今世紀国内で初めての国際的な花の祭典となった花博には、当初目標を上回る544万7788人が訪れ、常時約百50万株、会期を通じて6000品種・約500万株の花の競演を楽しんだ。

500万人と映し出された大型スクリーンの前で舞踊のパフォーマンスを見せる小中学生ら=浜松市村櫛町の花博会場・水辺の劇場
500万人と映し出された大型スクリーンの前で舞踊のパフォーマンスを見せる小中学生ら=浜松市村櫛町の花博会場・水辺の劇場
 約56ヘクタールの園内には個性に富んだ12のパビリオンと、国際庭園を筆頭に大小230を超える屋外庭園が設けられ、季節ごとの花や緑が会場を彩った。伝統の造園技術や斬新なガーデンデザインなど、花や緑を暮らしに取り入れるアイデアにあふれた空間もつくり出した。
 県民の参加も活発だった。小学生から高齢者まで約3400人の登録ボランティアが会場管理、場内案内など多方面で運営をサポート。「のたねステージ」では県内外の各種団体が音楽や伝統芸能などを発表し、趣を添えた。
 来場者は開幕から30日目の5月7日に100万人に到達。猛暑のあおりで7月中旬から9月初旬まで苦戦したものの、秋の訪れとともに回復し、10月3日に目標の500万人に。各庭園は平均して5回の植え替えをしたこともあり、リピーターも多かった。
 11日は9万1227人が来場。会場内「水辺の劇場」で行われた閉会式で、静岡国際園芸博覧会協会の鈴木修会長(スズキ会長)は「名実とも、花も実もある博覧会だったと確信している。花や緑を取り入れた豊かな生活様式が根付くよう期待したい」と述べた。石川嘉延県知事も「行政と県民、民間などの協働の持つ意味がいかに大きいかを実感した」と、県民参加が花博成功のカギだったとの見解を示した。
〈2004.10.12 静岡新聞夕刊〉

20年ぶりに「浜名湖花博」に関わる静岡県職員 山本東さん(静岡市駿河区)

 2024年3~6月に浜松市西区で開かれる浜名湖花博20周年記念事業に向け、ことし4月新設された静岡県の「記念事業推進室」に勤務する。04年の同花博開催当時に準備段階から携わった職員として経験が買われた。1986年に県採用。オリンピック・パラリンピック推進課長やスポーツ局長、地域外交担当部長を務めた。今春、定年退職し、経済産業部参事として再任用された。60歳。

山本東さん
山本東さん
 ―浜名湖花博との関わりは。
 「04年時は県国際園芸博覧会協会で各国に出展を勧める交渉に当たった。長い準備期間を経て更地のような場所に庭園の形が見えてきた時には感動した。初の国際イベントでの経験がその後のラグビーワールドカップや東京五輪パラに生きた」
 ―現時点での事業計画は。
 「花や緑の展示はもちろん、今の時代に合ったデジタル活用の取り組みを展開する。会場運営などにデジタル技術を使い、バーチャル技術を用いた鑑賞方法なども提案する。スマート農業、花卉(かき)栽培など最先端技術の展示場として多彩な体験ができるようにしたい」
 ―何を目指しているか。
 「障害者を含め誰もが楽しめるユニバーサルガーデン整備や、都市公園の持続可能な運営に向けた試みにも挑戦する。その技術が地域の病院や介護施設などに広まってほしい。記念事業が地域の新たな誇りとして刻まれ、浜名湖ガーデンパーク周辺のにぎわいを持続させたい」
 ―課題は。
 「開幕まで1年を切ったが、多くが開催を知らない。5月5、6日にガーデンパークでプレイベントを実施してPRする。秋のチケット販売開始に向け、県民や、企業、団体を巻き込んで機運醸成を図りたい」
〈2020.04.29 あなたの静岡新聞〉