23年の農林水産輸出2・9%増 過去最高も中国禁輸で鈍化
農林水産省が30日発表した2023年の農林水産物・食品の輸出額は前年比2・9%増の1兆4547億円となった。11年連続で過去最高を更新した。ただ東京電力福島第1原発処理水の放出に反発する中国の日本産水産物の輸入停止措置で冷凍ホタテなどが落ち込み、伸び率は前年の14・2%から大きく鈍化した。日本政府は中国以外への販路拡大を促進する。
禁輸の影響で下半期(7~12月)は前年同期比2・9%減となった。政府は農林水産物・食品の輸出額を25年までに2兆円、30年には5兆円に引き上げる目標を掲げており、伸びが鈍化すれば達成が難しくなる。新規の販路開拓支援や供給体制の強化を急ぐ。
中国は前年比14・6%減の2376億円で、11年以来のマイナスとなった。順位はトップを維持した。うち水産物は29・9%減の610億円だった。景気減速の影響で日本酒やウイスキーの輸出も減少した。2位の香港は真珠などが好調で13・4%増の2365億円となった。
米国は6・4%増の2062億円だった。9月以降、ホタテの輸出が増えているという。坂本哲志農相は30日の閣議後記者会見で「一部で輸出先の転換が進んでいる」と強調した。
品目別では、欧米を中心に需要が増えている緑茶に加え、ビールは韓国向けが好調で大きく伸びた。牛肉やブリ、清涼飲料水も大幅増となった。サバや日本酒、ウイスキーは落ち込みが大きかった。