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辺野古沖着工 「戦没者 二度殺すのか」 遺骨交じる土砂 投入懸念

 那覇市の遺骨収集団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(69)は、米軍普天間飛行場(沖縄県)の名護市辺野古移設に向け大浦湾で工事が着手された10日、反対の意思を示すハンガーストライキを始めた。埋め立てに沖縄戦の遺骨が交じる土砂が使われる恐れがあり「戦没者を二度殺すのか」と批判する。

沖縄県庁前でハンガーストライキを行う、遺骨収集団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(左から2人目)=10日午後
沖縄県庁前でハンガーストライキを行う、遺骨収集団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(左から2人目)=10日午後

 遺骨土砂が使われる可能性が浮上したのは約4年前。埋め立て予定海域に見つかった軟弱地盤の改良工事のため、政府が県に設計変更を申請した際、土砂を調達できる採取場所として、沖縄本島南部の糸満市と八重瀬町を挙げたことが発端だ。
 埋め立て現場に隣接する米軍キャンプ・シュワブ(名護市など)内にあったとされる捕虜収容所での遺骨調査ができず、辺野古移設にはもともと反対だった。土砂の調達計画を機にその思いをより強くした。
 太平洋戦争末期の1945年3月に始まった沖縄戦では、民間人推計約9万4千人を含め日米双方で計約20万人が死亡した。これまで18万5千柱超の遺骨が収集されたが、本島南部を中心に今も2千柱超の遺骨が見つかっていない。
 沖縄戦を生き抜いた母から、兵隊も住民も最期の言葉は「お母さん」だったと聞いた。28歳の時、「遺骨は絶対に遺族の元へ帰す」と収集を決意。沖縄や東日本大震災の被災地などで40年以上、遺骨を集めてきた。
 大浦湾の工事開始で、南部の採掘場でいつ土砂採取が始まってもおかしくない。採掘業者は遺骨が見つかった場合、工事を一時停止することで県と合意している。ただ投入予定の琉球石灰岩と遺骨の違いは、直接手に取らないと分からない。具志堅さんは「吸水性の高い石灰岩は住民、兵隊の血肉が混じっている。そもそも採掘が間違っている」と憤る。
 沖縄戦では沖縄県以外の出身者も犠牲になり、これまで全国230以上の地方議会が遺骨土砂投入に反対する意見書を採択している。具志堅さんは語る。「南部土砂は沖縄だけの問題じゃない。首相に『聞く力』が本当にあるなら、戦没者と遺族の声に耳を傾けてほしい」

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