炭じん爆発事故から60年 遺族、犠牲者458人追悼
1963年11月に死者458人を出し、戦後最悪の炭鉱事故となった三井三池炭鉱三川坑(福岡県大牟田市)の炭じん爆発事故から60年となった9日、市内の三川坑跡地で元炭鉱労働者らが主催し、犠牲者を追悼する式典を開催した。遺族らは事故当時に思いをはせ、苦しみながら死んでいった故人をしのんだ。
![三井三池炭鉱三川坑の炭じん爆発事故から60年となり、追悼式典で黙とうする人たち=9日午後、福岡県大牟田市](/news/images/n136/1353313/PN2023110901001316.-.-.CI0003.jpg)
式典は、閉山後に遺構として残された敷地の一角に立つ慰霊碑の前で営まれた。関好孝大牟田市長や遺族ら約100人が参列。黙とうし、三池労組の組合歌「炭掘る仲間」などを合唱した。
遺族を代表し、義父を亡くした杉本清高さん(72)=熊本県荒尾市=があいさつ。「事故の日が来ると(義父が)苦しかったやろうと、妻は胸が苦しくなる」と悼んだ。
三川坑で電気工として働き、事故に巻き込まれた宮脇好光さん(85)=大牟田市=は事故当時、国のエネルギー政策が変わったことで安全対策が置き去りになり「夕張をはじめ全国の炭鉱でガス爆発や坑内火災、炭じん爆発などが続発した」と指摘した。
参列した元炭鉱労働者の山田耕作さん(86)=仙台市=は坑外で作業中「どーんとジェット機が落ちたような音を聞いた」と語った。遺体やけが人を担架でひたすら運んだと当時を振り返った。
三井三池炭鉱は大牟田市や荒尾市などにまたがる国内最大級の炭鉱として栄えた。63年11月に炭じん爆発事故を起こし、97年に閉山した。