あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

難民申し出断念、出国希望 スーダン男性、大阪入管に

 8年前に来日し、大阪出入国在留管理局(大阪入管、大阪市住之江区)に収容されている50代スーダン人男性が、これまで求めてきた難民の申し出を断念し、アフリカの第三国へ出国する希望を入管に伝えたことが4日、関係者への取材で分かった。「仮放免や収容で仕事もできず、8年を無為に過ごした」と絶望を語り、日本の難民認定の厳しさを批判した。

大阪出入国在留管理局=大阪市住之江区
大阪出入国在留管理局=大阪市住之江区

 スーダンでは現在戦闘が続いており、斎藤健法相が今年7月、日本にいるスーダン人に対して就労も可能な在留資格「特定活動」を付与すると発表。しかし男性は「私が対象になるのか、直接は説明を受けていない」という。「私は日本にいたことはない。ずっとニュウカンにいる」とも語った。スーダン近隣の難民キャンプに行きたいと話している。
 男性の収容状況などに関する取材に大阪入管は「個別事案については差し控える」としている。
 男性はスーダンで反政府デモに参加し、治安当局に拘束されて拷問を受けたという。身の危険を感じて2015年に来日。関西空港で難民申請の希望を伝え、大阪入管移送後の16年1月に正式に申請。大村入国管理センター(長崎県大村市)などで過ごした後、難民認定されないまま、19年に仮放免された。
 仮放免中の労働は禁じられており、家賃や光熱費が払えず生活難に。今年3月、大阪入管に自ら再収容を申し出たが、拒否された。しかし同月末に入管職員が突然アパートに現れ、手錠をかけられ連行されたという。
 男性は強制収容に抗議してハンガーストライキを実施。体調が悪化し一時、入院した。
 入管収容に詳しい児玉晃一弁護士は「収容と仮放免を長期間にわたって繰り返され、精神的に苦しい思いをして難民申請や在留許可を諦める人は多い。外国人をいたずらに苦しめ、人道上の問題がある」と批判した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ