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自給率上げ食料安保強化を 水産白書、輸入額過去最高

 政府は2日、2022年度版の水産白書を閣議決定した。ウクライナ危機や新型コロナウイルス禍を受け、国内生産増加の取り組みの重要性が増したと指摘。22年の水産物の輸入額は2兆711億円と比較可能な1960年以降で過去最高となっているが、円安などの影響で輸入水産物の価格が高騰するなどの影響もあり、自給率を上げて食料安全保障を強化する必要があると訴えた。

水産物輸入額の推移
水産物輸入額の推移

 白書によると、2022年の水産物の輸入量は前年比0・9%増の222万トンだった。これに対し、輸入額はコロナ禍からの世界的な経済活動の回復やウクライナ危機に伴う供給網の混乱、円安による輸入価格の上昇を背景に28・6%増と大きな伸びとなっている。
 白書は、こうした輸入価格上昇や、燃油など漁業生産資材の価格高騰は、日本の水産物の安定供給を脅かすリスクだと指摘。国内生産を強化することは輸送障害や他国との競合リスクを下げて安定供給が期待できるとし、必要性を強調した。
 21年度の食用魚介類の自給率は概算値で59%となり、ピークの1964年度の113%に比べておよそ半減。政府は2032年度に94%に上昇させる目標を掲げている。
 また白書では、ウクライナ侵攻で経済制裁の対象となったロシアから、これまで日本が多くの水産物を輸入してきたことを特集。ロシアは制裁前の21年は金額ベースで中国、チリに次ぐ3位の輸入先だったが、特定の国への依存度が高い状況はリスクがあるとして「輸入の安定化や多角化も重要だ」と促した。

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