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文豪愛した商店「青木堂」、掛川の女性が冊子制作 東京大近く、空襲で焼失

 掛川市大坂の水谷房江さん(87)はこのほど、文学にゆかりある商店「青木堂」について小冊子にまとめ、市立大東図書館などに寄贈した。

自身がまとめた青木堂の冊子を紹介する水谷さん=掛川市大坂
自身がまとめた青木堂の冊子を紹介する水谷さん=掛川市大坂

 青木堂は明治から昭和にかけて東京大の近くにあった商店。夏目漱石の小説「三四郎」にも登場する。輸入品を取り扱い、2階には喫茶スペースがあった。東京大空襲で焼失するまで、多くの文豪や外国人の学者に愛された。
 水谷さんの夫、秀夫さん(89)は青木堂の二代目吾平さんの四男で、中学の時に空襲に遭うまで暮らした。戦後、房江さん夫婦は青木堂跡地付近で吾平さんと同居し、青木堂の話をよく聞いていた。房江さんは「義父の話は貴重。残さないと消えてしまう」と思い、青木堂を知らない子孫のために、生前の義父との会話を思い出しながら文章をつづった。
 冊子はA5判で32ページ。秀夫さんの祖父五兵衛さんが青木堂を起こした経緯や商品などを記した。娘と店を訪れた森鴎外や喫茶室でチョコレートを食べた魯迅など青木堂に通った文豪たちの様子も紹介している。

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