清水区PFAS検出問題 飲用井戸から指針の7倍超 工場の2~3キロ圏に拡散か

 静岡市清水区三保の化学工場周辺の地下水から高濃度の有機フッ素化合物(PFAS、読みはピーファス)が検出されている問題で、半径2~3キロ圏内の飲用の井戸からも最高で国の指針値の7・2倍となる1リットル当たり360㌨グラムのPFASが市の調査で検出されたことが18日までに明らかになった。静岡新聞社の情報公開請求で分かった。

静岡市清水区三保の化学工場から半径2~3キロ内にある井戸の調査一覧。高濃度のPFASが検出された飲用井戸もある
静岡市清水区三保の化学工場から半径2~3キロ内にある井戸の調査一覧。高濃度のPFASが検出された飲用井戸もある
静岡市清水区三保の化学工場から半径2~3キロ内にある井戸の調査一覧。高濃度のPFASが検出された飲用井戸もある

 公開された資料によると、市は昨年11月、希望する市民に対し、PFASの一種で、すでに国が製造・輸入を禁止したPFOA(ピーフォア)とPFOS(ピーフォス)について井戸水の調査を呼びかけ、68件の希望があった。このうち、飲用にしていたのは約1割の7件。市の聞き取りに対し調査希望者が「結果の公表を可能」とした5件で、いずれも国の指針値である1リットル当たり50㌨グラム(PFOAとPFOSの合計)を3・4~7・2倍上回る、同170~360㌨グラム検出した。市はすでに飲用をやめ、水道水に切り替えるよう要請している。
 また、飲用でない井戸を含む調査希望のあった全68件中、「結果の公表を可能」とした39件のうち、約95%の37件で国の指針値の1リットル当たり50㌨グラムを上回った。指針値の14・4倍となる同720㌨グラムを記録した飲用でない井戸もあった。
 市環境保全課によると、PFASの拡散実態などを調べるため調査を実施した。担当者は「工場から最も離れた場所では、駒越や村松地区周辺で国の指針値を超えた」と述べた。一方で、「折戸湾を挟んだ日の出地区などでは指針値を超えなかった」とした。
 この工場は三井・ケマーズフロロプロダクツが運営。「テフロン」の呼称のフッ素樹脂を製造するため、2013年までPFOAを長年使用していた。PFOAを巡っては世界保健機関(WHO)が昨年12月、4段階中最も高い「発がん性がある」グループに評価を引き上げた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞