自民静岡県連、揺れる「支援」 支部先行、鈴木氏か大村氏か「分裂含み」【知事選2024】

 5月9日告示、26日投開票の静岡県知事選は元副知事の大村慎一氏(60)と前浜松市長の鈴木康友氏(66)による選挙戦が確定的となり、自民党県連がどちらを支援するかが焦点となっている。異例ずくめの短期決戦でようやく選考方針を決めたが、一部支部が先んじて支援の旗印を鮮明にする。支援先を一本化できるかは見通せず、県連と支部の足並みが乱れた2017年の知事選を想起する関係者もいる。

(左から)大村慎一氏、鈴木康友氏
(左から)大村慎一氏、鈴木康友氏

 「どちらに決まっても、別の地域から批判が出るのは仕方がない」。城内実県連会長(衆院静岡7区)は15日の記者団の取材に、候補者選考の難しさを指摘した。「推薦出し合戦みたいなのはちょっと控えていただきたい」とも述べ、17日に両氏と面談した上で22日に正式決定する方針に理解を求めた。
 静岡市内の4支部は、地元出身の大村氏を推薦する方向で最終調整している。静岡支部の関係者は「県連の対応が遅い。一刻も早く動き出すべきだ」といらだちを隠さない。県連に先駆けて方向性を打ち出すことで大村氏支援の流れをつくり出したい思惑がにじむ。
 一方、浜松市内には西部経済界が推す鈴木氏の支援を模索する動きがある。県連関係者は「早くも分裂含みだ」とため息を漏らす。
 こうした足並みの乱れを17年の知事選と重ね合わせる関係者もいる。自民は川勝平太知事を批判しながら独自候補擁立に失敗。バルセロナ五輪柔道女子銀メダリストの溝口紀子氏が名乗りを上げたものの、県連が自主投票の方針を定めたことで市町支部の対応がそろわず、しこりを残した。
 ベテラン県議は「あのときと同じことを繰り返すべきではない」と語るが、一枚岩になって選挙戦に臨めるかは不透明だ。早期の衆院解散が取り沙汰される中、県連内には「仮に与野党対決で敗れれば、国政選挙への影響は計り知れない。静岡県だけの問題ではなくなる」と絞り込みに慎重な声もある。
 過去の知事選同様、対応に揺れる自民。増田享大幹事長は「一本化は強く求められている。みんなでいい方向に、気持ちを一つになれるようにと思っている」と強調した

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