難聴の右腕・内山さん(下田高出) ろう野球世界一に貢献 メキシコを完封「自信に」

 下田高野球部元主将の内山浩汰さん(20)=帝京平成大3年=が、2月に開かれたろう野球の第1回世界大会に投手として出場、優勝に大きく貢献した。先天性難聴の内山さんは「自分のプレーを通じ、障害者の野球の中でも高いレベルがあるのだと知ってもらいたい」とさらなる飛躍を誓う。

日本のろう野球世界一に貢献した内山浩汰さん=3月下旬、下田高
日本のろう野球世界一に貢献した内山浩汰さん=3月下旬、下田高

 大会は台湾で開かれ、5カ国が出場した。内山さんは予選リーグ初戦のメキシコ戦で先発。右腕からのテンポの良い打たせて取る投球が身上で、三塁を踏ませずメキシコ打線を完封(7回制)した。決勝ラウンドでも1試合に救援登板し、初代世界王者獲得に貢献。ブレーキの効いたナックルカーブは外国人打者も手を焼いたといい、「自分の投球が世界相手にも通用するのだと自信になった」と振り返る。
 日本代表には高校野球の強豪校出身者や甲子園経験者も名を連ねたという。高校2年から投手に転向した内山さんにとって、「自分は地方の強くない高校出身。日本代表は吸収できる部分がたくさんあった」と充実感がにじむ。
 硬式球を試合で握るのは、主将兼エースで臨んだ高校最後の夏以来だった。3月29日に母校へ報告に訪れ、山下貴大監督(4月に転出)から「部員たちの励みになる」と激励を受けた。
 大学進学後は神奈川県内のろう野球の軟式チームでプレーしている。第2回の世界大会は2026年に日本で開催予定といい、「また代表の一員として、今度はお世話になった人たちに自分の投球を見てもらいたい」と意気込む。

 ろう野球 ルールは通常の野球とほとんど変わらない。硬式競技を所管する日本ろう野球協会によると、基本的に7回制で木製バットを使用する。公平性の観点からプレー中の補聴器の使用は禁止されている。

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