あわしまマリンパーク閉園1カ月 再開険しく 淡島ホテル破産影響、資産所有権で問題

 沼津市の離島・淡島の水族館「あわしまマリンパーク」が閉園し、25日で1カ月を迎えた。関係者によると、現場の従業員は再開に向けて複数の新オーナー候補と交渉中だが、見通しは立たないまま。難航する背景には、かつて同じ経営グループの傘下にあり、同じ島内にある淡島ホテルの破産手続きの過程で生じた水族館資産の所有権の問題があるとみられる。
閉園から1カ月が経過し、人影が少ないあわしまマリンパークの駐車場=24日午後、沼津市内浦重寺
 水族館はかつて、旧東京相和銀行を率いた故長田庄一氏のグループが隣接の淡島ホテルと一体で経営していた。その後、2012年に水族館の運営は分社化。19年までにホテルと水族館の経営権がともに名古屋市の保証事業会社「オーロラ」のグループに移った。
 淡島ホテルは事業を別のオーロラ系企業に譲渡した上で、19年に破産手続きの開始決定を受けた。現在ホテルはオーロラとは無関係の会社に運営が移り、ホテル資産も香港企業が買収する方向でまとまった。
 一方、水族館はオーロラがオーナー企業のまま。ホテル側の破産管財人は分社時の水族館資産の扱いに問題があるとし、水族館との間で所有権を争う訴訟が続いている。関係者によると、訴訟継続中は新オーナーへの引き継ぎのめどが立たないという。
あわしまマリンパーク、淡島ホテルを巡る経営権の経緯
 オーロラと現場の従業員との間には、意思疎通において溝もある。関係者によると、従業員に閉園が告知されたのは、1月22日の公式発表の数時間前。その後もオーロラ側の意向で閉館を2週間延長するなど混乱が続いた。従業員の多くは3月中旬に解雇されたという。
 現在は残った従業員が動物を管理し、陸地側でグッズショップのみ営業している。伊藤裕館長は「動物や、再開の実現を信じて待つ従業員のため、早急な新オーナー決定に満身創痍(そうい)で尽力する」と話した。
 水族館が運航していた淡島への渡船は、水族館からホテルに転籍した従業員が運航し、宿泊客の足は確保されている。淡島ホテルの杉森大樹支配人は「水族館から人の姿が消え、建物が急速に老朽化していくのが気がかり」と先行きの見通せない現状を語る。

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