20業者届け出撤回せず廃業 機能性表示食品として公表

 小林製薬(大阪市)のサプリメント問題で消費者庁が全件調査を始めた機能性表示食品に関し、3月時点で届け出を出している約1700事業者のうち、約20事業者が届け出をしたまま倒産や休廃業していることが28日、東京商工リサーチの調査で分かった。消費者庁が公表しているデータベースでは製品や根拠となる成分表示が残されたままになっており、健康問題などが起きても事業者とは連絡が取れない恐れがある。
 機能性表示食品制度については、以前から消費者団体が安全性確保などに課題があると指摘。小林製薬の問題で改めて適切さが問われる事態になっている。倒産事業者の届け出がされたままになっていることに、同庁の担当者は「放置していたと言われると苦しいところだが、課題として認識している」と述べ、対応を検討する必要性があるとの見解を示した。
 機能性表示食品は、安全性や機能性を国が審査せず、事業者側の責任でその根拠を届け出る制度。消費者庁は、届け出のある事業者全てを対象として、被害情報の有無や、情報収集体制に関する緊急点検を進めている。
 だが東京商工リサーチが届け出をしている1671社を調べたところ、倒産が13~14件、休廃業や解散したのが9件あった。撤回しないまま廃業した場合でも、消費者庁側がデータベース上で撤回することができない。
 消費者庁の担当者は「決して良い状況だと思っているわけではない」と説明。「制度が始まってから年数がたち件数も増えてきたからこそ出てきた新しい課題だと受け止めている」と述べた。

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