
[毎週土曜日]朝7:30~11:00 ※コーナーは10:00〜
パーソナリティ 洋輔・影島亜美

番組はこちらからお聴き頂けます。
「未来に残したい静岡グルメ遺産」のコーナーです。
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年も県内の金融機関や商工団体などからの協力で、後継者を募集しているお店、親族内や第三者に経営を引き継いだお店、そしてこれから引き継ぐ予定の店などを取材していきます。
洋輔:12回目は、磐田市上野部、天竜浜名湖鉄道・豊岡駅のすぐそばにあります、「和食処なかや」へ行ってきました。 天浜線の駅が近いというか、お店のすぐ裏になるのかな? お店の横に線路があって電車が通るのが、すぐ近くでみられるの。
暖簾をくぐってお店の中に入っていくと、磐田市にあるお店、さすがで、遠州織物の生地の質感とかをモチーフにした壁紙とか天井で、和モダンな感じがあってすごい素敵なお店だったんですけど。
まず初めにお話を伺ったのは、お店の三代目、深田浩介さんです。 「和食処なかや」のお店について、歴史と成り立ち、そして提供しているメニューについて伺いました。
<和食処なかや>
深田浩介さん: 磐田市の一番北の端になるんですが、この豊岡っていう地区で和食全般をやらせてもらってる店になります。
洋輔: どのぐらいの期間、やってるんですか?
浩介さん: 創業は、私の祖父から始めたお店で、76年と伺ってますね。
洋輔: 76年。スタートは、何かきっかけがあったんですかね?
浩介さん: スタートは、祖父が戦争へ行って、こちらへ帰ってきてから、こういうお店がここら辺になかったから、みんなを元気づけたいっていう思いで。何かこう料理の仕事を元々やってたっていうわけではなくて始めたのが、始まりっていう風に聞いてます。
洋輔: なるほど。で、浩介さんのお父様も、その後二代目になって、で、三代目ってことですよね、浩介さん。
浩介さん: そうですね。まだ父はやってくれてますけどね。はい。
洋輔: お父様は料理人だったんですか?
浩介さん: そうですね、父は東京の方へ勉強に行って、それでこちらへ戻ってきて、料理屋の色を強くしたように聞いてますね。
洋輔: 浩介さんは、どっかで料理の勉強はされてきたんですか?
浩介さん: はい。僕は大阪の方の調理学校に行ってたこともあったもんですから、主に関西の方へ行ってます。
メニューはふらっと入って食べていただける定食みたいなのを主にやってますけれども、それ以外に仕出しとかお弁当だとか、あとお座敷席もあるので会席料理的なものもできますし、和食のジャンルの中では幅広く対応できるのかなと思ってます。
洋輔: 「なかや」さんで一番おすすめのメニューっていうのは何かあるんですか?
浩介さん: はい。父がウナギを大事にやってきたものですから、うな重とか、そういったものはお客さんには好んでいただけるメニューではあるかなと思うんですが、僕の方は、なるべくこの「ふじのくに」、静岡の食材とかを使った、時期のものを伝えられるような料理を、なるべく定食とかにも入れていきたいなっていう風に考えて。
今だと、ここの豊岡地区っていうと海老芋の収穫時期なんですね。全国シェアの90%以上を作っている地区なので、その海老芋を使ったお料理を食べてもらえるのが嬉しいなと思います。
洋輔: それを聞いたらその海老芋も食べたいんですけど、海老芋を使った定食もあるんですか?
浩介さん: はい。
洋輔: じゃあそれか。まあウナギも気になりますよね。どちらかちょっと一ついただいてもいいですか?
浩介さん: はい、じゃあ両方ご用意させていただきますのでお願いします。
洋輔: ワオッ!

<スタジオ>
洋輔: 創業から76年続いている和食料理店ということなんですけども。和食料理店というとちょっと敷居が高いかなっていうイメージがあるじゃないですか。でも、メニューは定食とか丼ぶりもたくさんあって、地元に愛されているお店っていう感じだったんです。
その中でおすすめの「海老芋のズワイガニあんかけ定食」、そして二代目のお父様が今も作り続けていらっしゃる「うな重」。この二つとも、いただいちゃいましたんで、その様子をお聞きください。
<和食処なかや>
浩介さん: はい、お待たせしました。海老芋のカニあんかけの定食になります。
洋輔: うわあ、すごい定食。こちら、ご飯とお味噌汁、そしてお漬物もついて、あと小鉢。そしてそして、メインのこちら、海老芋のズワイガニあんかけ。見た目が美しいんですけど。 もう海老芋がゴロゴロっとのっかっていて、エビも入っていて、上に紅葉(もみじ)のお麩?
浩介さん: はい。
洋輔: 早速いただいてもいいですか?
浩介さん: はい、どうぞ。おまちどうさまでした。
洋輔: はい。じゃあまずは海老芋から。
洋輔: んー!あっ、海老芋美味しい!
浩介さん: そうですね。
洋輔: うーん!食感がこう、とろける感じがもう素晴らしいし、ズワイガニのあんかけがめちゃくちゃ美味しいですね! 海老芋の中が、ほんとトロっとしてるんですけど、まわりがサクサクしていて、あんかけとの絡み具合がもう絶妙です。
浩介さん: ありがとうございます。
洋輔: 海老芋って僕、実はあんまり食べたことなかったんですけど。
浩介さん: 里芋の一種だけど、里芋っていうと「ねっとり」とかいうのが褒め言葉の形容詞として使われること多いですが、海老芋ってね、やっぱちょっとねっとりとは違うのかなっていう、クリーミーな感じ。 品がいいお芋なんで、お出汁の味とかもきれいに吸い込んでくれる、お料理しやすいお芋ですね。
洋輔: 美味しい。……続いては。うな重。
浩介さん: はい、そうですね、父がやってます、うな重ですね。はい。
洋輔: 開けます。はい。ドーン!おほほほほ(笑)。立派なウナギですね、また。
甘辛いタレの香りと、あと山椒の香りが少ししますね。じゃあ早速いただきます。ちょっと贅沢に。あっ、もうお箸で切れちゃう。まずウナギだけいっちゃおうかな。いただきます。んー。あっ、味もしっかり染みていて、うん、柔らかくて美味しい。フカフカ。甘さと、ご飯に絡まった時のハーモニーがすごいですね。うん、美味い!
洋輔: ちょっとこの料理のお話も聞きたいなと思うんですけど、浩介さん「定食」っていうところにすごいこだわりが強いんですか?
浩介さん: 定食を大事にしたいなっていう風に、やっぱここ数年で気持ちが変わってきたのは確かかなと思います。
洋輔: それは何かきっかけがあって?
浩介さん:それは、自分たちでは気づかなかったことで、お客さんに伝えてもらった。うちのお店の存在意義っていうか、そういうのをお客さんに教えていただいた、そういう部分もあったのかなと思いますね。
ウナギも父がずっと継ぎ足してタレを大事に守ってきてるし、先ほどの海老芋に関してもね
、お芋自体、栽培するのが大変な作物だけど、ここ近年、この豊岡地区でも若い方が、新規就農で海老芋に挑戦されてる方が増えてきてるんですね。 なので僕らは、海老芋の使い手として、そういうのも知ってもらえるようなね、機会になっていけば、そういう新しく挑戦する就農の人たちのね、また励みになってもらえればいいかなって。 何よりやっぱね、美味しいものをお客さんに伝えたいなっていう思いはすごくありますよね。
洋輔:本当に何かこう食を通して、この地域を盛り上げていったりとかしてるんですね。
浩介さん: いや、そんな立派なもんじゃないですけど。
洋輔: いやいや、でもすごい、いろんな繋がりがあって。僕は、本当に食べて感じたのは、すごい、この一つのプレートの中に、家族皆さんで作ってる感じがすごいたくさんして、温かみがすごいなと思ったんです。
浩介さん: 本当ですか。ありがとうございます。
洋輔: とっても美味しかったです。
浩介さん: ありがとうございます。
<スタジオ>
洋輔: いやー、本当に美味しくて。でも僕ね、海老芋って実はあんまり本当に食べたことがなかったんですけど。磐田市豊岡地区って海老芋の全国シェアの9割を誇ってるっていうね。 とってもクリーミーで、浩介さんが言ったみたいに、ほんと、ズワイガニのあんと、すごい絡み具合が上品だったのよ! あと盛り付けも、さすが、和食を勉強した浩介さんならではで、見た目も美しいし、本当に美味しかったのと、 もちろんウナギも、本当に大きなウナギで、厚みがあってフワフワでね、焼き加減ももう絶妙な感じで、もう美味しゅうございました。
こちらの「和食処なかや」なんですけども、今もお父様、お母様も一緒に、家族でお店を切り盛りされているということで、浩介さんがお店を引き継ぐことになったきっかけを伺ったんですが、引き継ぐ前にね、色々とちょっと大変な出来事があったということで、そちらも聞いてみました。
<和食処なかや>
洋輔: こちらのお店「なかや」さん、浩介さんは三代目になるんですけど、二代目から引き継いだタイミングっていうのはどういうタイミングだったんですか?
浩介さん: はい。父もね、年齢が割と高齢になってきたっていうこともあるのと、それとまあ決定的に動いたのが、ちょうどこの飲食店の営業許可の更新のタイミングがありまして、次の更新からデジタル化になるよっていうことを言われたので、なかなかデジタルになると、若い世代じゃないとちょっと大変かなっていうのを言われたところで、まあじゃあこれがちょうどいい時期なのかなっていう風に思ってですかね。
洋輔: で、その時に何か大変だったこととかありますか?
浩介さん: ちょうどその時が、コロナウイルスが一番、激しかった時だったので、営業上の自粛も2年ちょっと続いたのかな。それがちょうど明けたぐらいの時期だったんですね。 それで、通常の仕事に戻れるのかなと思ったところで、台風15号っていう大きい台風が、この磐田にも来まして、で、うちも床上浸水になりまして。 1メートル20ぐらい浸水して、40日ぐらいお店の方も、休まざるを得ない感じでしたね。はい。
洋輔: そうやってすごい困ってる時に、何かこうサポートしてくれたところとかはあったんですか?
浩介さん: まあ不安だった時に、一番強みになったのは、お客さんとか、あの知り合いの人たちがやっぱ心配してね、本当にたくさんの方がお見舞いにも来てくれたし、何かできることはあれば手伝いたいって言って、本当に掃除しに来てくれるお客さんもいらっしゃったんですね。 で、その人たちと、そういう作業をしながら話してると、手作りがね、伝わるような定食を食べれる店って本当少ないから、それが食べたくてここまでわざわざ来てるんだから、絶対潰さないように早く再開してほしいってことを本当に言われたんですね。
それを言われる前はね、どちらかっていうとやっぱ自分も、華やかな京都とかの仕事とかもみているので、こう専門性のある仕事をする方がかっこいいかなとは思ってたんですが、今となってはね、まあコロナの時にも思ったんですけど、仕出しとか色々やれてたのが逆に、テイクアウトしか売っちゃいけないっていうのにもすぐ対応できた。それで結構皆さん、困ってたお店も多いと思うんだけど、まあうちはそれで救われたかなって思いますかね。
洋輔: で、その流れが繋がってその後じゃあちゃんとこのお店をもっと守っていきたいなって思いで、事業承継を行ったってことなんですね。
浩介さん: そうですね。はい。
<スタジオ>
洋輔: このコーナーでいろんな方々のお話を聞いていると、新型コロナウイルスの時に結構大変だったっていう話もあるんだけど、まあそういう経験もあった。 で、なかやさんは特に台風15号の時のね、被害もあったということで、お店の中のね、壁とか柱に、水の後がちょっと残ってたりとかして。で、その水、浸水したことによって結構機材というか、あの冷蔵庫とかそういうのがダメになっちゃって、そういうのもすごい大変だったっていう話を聞いて。
そんな時に助けになったのが、地元の方とか、あのお客さんとか、あと商工団体の皆さんだったということで、まあサポートしていただいた皆さんに対する感謝の思いをね、話を聞いててすごい感じたんですけど。 そんな大変な経験を経て、二代目のお父様から親族内承継を行ったということで、どのようにして承継をしたのか、また実際にお店の承継をサポートした磐田市商工会の経営指導員、三ツ矢航介さんにもお話を伺ってみました。
<和食処なかや>
洋輔: ちなみに浩介さんて、どういうステップで事業承継されてったんですか?
浩介さん: あんまりこう、(先代から)話がないもんで、お互い職人同士なんで。 どっちがこう言うっていうこともない感じで。まあ(営業許可の)更新時期がきたところで自然と変わったって感じなので。それと色々災害とかも起きた時だったのでそういうタイミングだったのかなって、今になって考えると思いますけどね。
洋輔: うん、なるほど。結構すーっと移っていったって感じなんですね。
承継してよかったなって思ったことって何かあります?
浩介さん: そうですね、僕にやっぱ責任感が生まれたのかなと思います。家族でね、お店やってると、やっぱ甘えってどうしてもあったりするのかなって、うん、そういう風には思ってなかったけど、今考えるとね、やっぱそれは思いますね。 で、自分が数字の管理もするようになるから、やっぱ去年より今年の方が数字も上げたいと思うし、やっぱお客さんから反応をいただければ、じゃあもっと楽しませてあげようっていうのも、自分自身が受けることになるから、なんで、そういう意味では本当に、心構えが良くなったかなっていうのは思いますね。はい。
洋輔: 責任感っていうやつですね。それが強くなったという。
ではここからは、磐田市商工会の三ツ矢航介さんにお話を伺います。よろしくお願いします。
磐田市商工会の三ツ矢航介さん: よろしくお願いします。
洋輔: 今回この和食処なかやさんの、事業承継のお手伝いをされたということなんですけども、どういう感じでお手伝いしてったんですか?
三ツ矢さん: まずは、あの浩介さんの方から、将来的には事業承継をしたいから、どんなステップでやってけばいいか、まあちょっとこう知識をつけたいから教えてもらいたいというところがスタートでした。
洋輔: そこから何年計画でやってったんですか?
三ツ矢さん: 今ちょっと記憶を思い返してて、令和4年ぐらいに一回そういう相談をいただいて、商工会では定例で事業承継の相談会っていうものがあったので、まずそこに浩介さんに来ていただいて、こういうステップでやってくといいよっていうのをコーディネーターさんに説明していただいたっていうような感じですね。
洋輔: なるほど。事業承継もそうですけど、他にも様々なサポートもされてきたんですか?
三ツ矢さん: そうですね。自分の上司にあたる職員からなんですけど、小規模事業者が使える補助金ですとか、そういったところの支援をかなりやってきたかなと思います。あと県の経営革新計画のお手伝いなんかもしてきました。
洋輔: 商工会さんっていうのは、いろんな相談を受けてそれに対処する場所じゃないですか。こちらのお店で言うと、例えば災害とか、こう難しい時期にもサポートはされてたんですかね?
三ツ矢さん: そうですね、直接的なものはその時には、あのあまりできなかったかなとは思うんですが、台風があった後に、事業を、あのまあ有事の時にこういった災害があったらどういう風に立て直してけばいいかっていう計画は、その経験を基に作るっていうサポートはさせてもらいました。
洋輔: うーん、じゃあ困った時には本当に相談に行った方がいいってことですね。
三ツ矢さん: ぜひそうしていただけるとありがたいです。
洋輔: あと最後に、何かラジオをお聞きの皆さんにメッセージがあれば、一言。
三ツ矢さん: そうですね、あの事業承継って、ご家族のことなので、あの今浩介さん言われた通り、親子間だとお話しが難しいなっていうこともあると思うので、そういう時に商工会とか、商工会議所を利用していただけると、スムーズに、あの承継が進んだっていう事例が多くあるので、ぜひ相談いただけるとありがたいです。
洋輔: はい、三ツ矢さんありがとうございました。
三ツ矢さん: ありがとうございました。
<スタジオ>
洋輔: 家族にもよると思うんですけど、今回の場合は職人同士の間で、あんまり父さんと息子さんの中で会話がなかった中で、地元の磐田市商工会のアドバイスもあって無事に親族内承継を完了することができたと。 不安に思ってる方とかね、まずは相談することが大事なんだなっていうのを改めて思いましたね。
最後に浩介さんから事業承継をするにあたってのアドバイスを伺いました。
<和食処なかや>
洋輔: 最後にちょっとリスナーさんの中では今後、事業承継、親族内でもその親族外でもしていこうかなって思ってる方いらっしゃると思うんですけどそういう方にアドバイスするとしたら何て言いますか。
浩介さん: そんな立派なことは言えないですけど、自分一人でできることじゃないのかなと思いますね。支援機関の方もあるし、僕みたいにお客さんに支えられることもあるし、もちろん家族とかもそうだと思うのでそういう中で承継できれば、すごく自分のやる気にも繋がるし、何か素晴らしいことじゃないかなていうふうに思います。
洋輔: 自分一人じゃなくてみんなで。みんなの力を借りながらやっていった方がいいってことですね。素敵なお話をありがとうございました。
浩介さん: ありがとうございました。
<スタジオ>
洋輔: 承継するのは自分本人なんだけど、皆さんの力も借りながら進んでいくのが大事なんだなっていうのを改めて感じましたけども。
食の大切さを若い人たちに伝えていくべく、浩介さんはいろんな活動もしていて、地元の小学生に向けた食に関する授業とかワークショップも精力的に行っていて日本の食文化や食材の大切さはもちろん、豊岡地区の素晴らしさも後世に伝えていきたいとおっしゃってましたね。 そちらの取り組みも、応援していきたいなと思っております。
未来に残したい静岡グルメ遺産、12回目は、磐田市上野部、天竜浜名湖鉄道・豊岡駅のすぐそばにあります「和食処なかや」をご紹介しました。
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